Tさん:ええ、ありますよ。私の場合は自転車対自転車の接触事故現場でですね。
交差点での出会い頭での接触事故だったんですが、その日は雨が降ってまして、被害者側の自転車に乗っている男性は優先道路を走行。加害者側の女性は自転車運転中に傘をさして片手運転で一時停止無視での飛び出し。
男性は女性が一時停止無視で飛び出してくるとは思わず衝突した被害者だったんですが、その女性の自転車の真横へ激突したもんですから、女性は数メートル先へ飛ばされて全身を打っていた様子だったんですね。
吉田:男性はケガはなかったんですか?
Tさん:なかったですね。女性の自転車の左側面から衝突する感じでしたので、フロント部分の前輪箇所がぐにゃって曲がってましたけども。
吉田:こんなこと言うとドライだと捉えられてしまいそうですが、女性側の自業自得ですね。東京都では自転車運転中に傘をさすことは禁止ですし、路面や標識に当然一時停止の”止まれ”サインはあったと思うんです。僕の考えでは、その女性は自転車だって車両という認識欠如だったのではなかろうかと。軽車両だって車両なんですから一時停止は当たり前なので、同情の余地はないですなぁ。僕は男性のほうを支持します(苦笑)。
Tさん:どちらが正しくてどちらが悪いのかは司法判断ですからなんとも言えませんが、個人的見解では男性側が確実に被害者です。しかし、ここから急展開したんです。男性がスマートフォンを取り出して動画の撮影を始めたんですね。女性がケガしている現状を目の当たりにしている現場で。当然周囲には目撃者やギャラリーが集まってきていたんですが、その男性は一切ケガ人介護をせず、無言で動画を撮影しているだけ。
吉田:なんだか怖いですね。もちろん、それって男性が事故の状況を警察へ提示するために、女性が飛び出してきたのが悪い=過失を分からせるためだったんじゃないでしょうかね。
Tさん:鑑識はそのような事故直後の映像があったりすると大変助かるんですけども、警察官という立場上、そして道路交通法的にも、交通事故が発生した場合、加害者と被害者などを含め、その現場で最初に行なわなければならないのは負傷者の救護なんですね。道路交通法でも救護義務として定められているので、動画撮影に夢中になっていたこの男性の行為は義務を果たしてないとして、逃げているわけではないですが”ひき逃げ扱い”で重罪処分を課すことになりました。
吉田:えええええええ!?!?!?
(次回へつづく)
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