子猫は1日20h寝るってホンマでっか? 生物学者が教える睡眠の話

 

ヒトは深い眠りであるノンレム睡眠の割合が大きいので、トータルの睡眠時間が短くても、生きていけるのだろうという仮説は、首肯できないこともない。系統的にヒトに最も近い霊長類である、チンパンジーやボノボは平均10時間くらい眠る。6時間くらい眠れば事足りてしまうヒトは、かなり特殊な霊長類であろう。但し、哺乳類全体から見れば、決して短いわけではない。ウマやヒツジは2~3時間しか眠らない

不思議なことに、草食動物は体が大きいほど睡眠時間が短い。1日中食べ続けていなければいけないので、眠っている暇がないのかもしれないが、本当の理由はよくわからない。同じ草食動物でもコアラは18時間ナマケモノは20時間も眠ると言われている。生きている間はほとんど眠っていることになる。フタユビナマケモノの寿命は野生で12年、飼育下で30年と言われているが、1日4時間しか活動できないとなると、活動時間は実質的には野生で2年、飼育下で5年ということになる。私の教え子で、コアラ君という綽名のよく眠る男の子がいたが、友達に「コアラ君が100歳まで生きて、私が70歳で死んでも、実質活動時間は同じだよ」と、からかわれていた。

人間以外の哺乳類は基本的に1日に何回も眠る。ヒトだけが1回しか眠らない。火を使えるようになった人類は、洞窟の入り口で火を焚いて、天敵を寄せ付けないようにして、夜は安心してぐっすり眠れるようになって、昼間は起きていられるようになった、という説もあるようだが、本当かしら。ヒトでも子供や老人や、先に述べたように病人は昼間でも寝ているので、単相性睡眠は遺伝的に決定されたものではないと思う。本当は昼でも眠りたいのだけれども、仕方なく起きているというのが真実かもしれない。

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