なぜ『きけわだつみのこえ』を読んだ特攻遺族は異議を唱えたのか

chichi20170913
 

1949年に出版されて以来、「平和教育」のバイブルとして今も読み継がれている『きけわだつみのこえ』。戦没学徒の遺稿という「生の声」だからこそ胸に響いたという方も多いのではないでしょうか。しかし、過去には「編集意図が公平さに欠けている」として、一部の遺族から抗議もあったと言います。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では同書の問題点を探るとともに、「戦後の平和教育」の実態に迫っています。

日本の教育を取り戻す

毎年夏になると取り上げられる学校での「平和教育」。そこにはどんな問題が潜んでいるのか、占部賢志先生(中村学園大学教授)にメスを入れていただきました。

『きけわだつみのこえ』の真実

少し戦後の平和教育の実態に触れておきましょう。学校現場では、長年にわたって「教え子を再び戦場に送るな」というスローガンのもと、手を替え品を替えて様々な材料が教室に持ち込まれ、「平和教育」「反戦教育」が繰り返されてきました。

私が過ごした昭和40年代前半の高校時代には、とりわけベトナム戦争と『きけわだつみのこえ』が頻繁に取り上げられていたのを覚えています。この本はいまだに現場教師にとって「平和教育のバイブルと言ってよいでしょう。

私が問題にしたいのは、この本に収録されている戦没学徒の文章ではありません。その編集意図です。

これは文芸評論家の小林秀雄さんの本で知ったのですが、戦時下の若者の心情に対して、あの本の編集者たちはあまりに一面的な取り扱いをしたのですよ。戦争に疑念を抱き、最期まで戦争を呪って死んでいった学生の手記は採用されたが、祖国の危急に臨んで決然と出陣し散華した学生の手記はボツとされたのです。

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