3.「商品+環境」というトータルソリューションの提案
そして、最後の三つ目は環境も併せて提供するということ。
たとえばスターバックがスペシャリティーコーヒーだけでなく、リラックスしてコーヒーが飲める環境を併せて提供して成功したように、商品だけでなく、食事をする環境も顧客から選ばれる大きな要因になります。
商品だけでなく、他の補完サービスを組み合わせて顧客にトータルソリューションを提供できれば大きな差別化につながるというわけです
そこで、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンは、来店客に合わせた店舗作りにも力を入れています。店舗の立地によって変わる客層に合わせて、内装を店舗ごとに変えているのです。
たとえば、ビジネス街の店舗であれば一人で来店する顧客も多く、カウンター中心のレイアウトにしたり、郊外のファミリー層が多い店舗であれば、家族が店内で楽しめるようソファー席を多めにしたり、ファーストフードチェーンといえども決して同じ内装ではなく、店舗ごとに特徴を持たせて来店客が居心地の良さを感じる空間を目指しているのです。
売り上げアップを図る際には、どうしても商品に目が行きがちですが、マーケティング的にいえば、「顧客が求めているのは商品ではなくトータルでの満足」であり、その意味でイートインスペースも顧客を惹きつけるために重要な役割を果たすことになるというわけです。
現状ドーナツ業界は、市場が収縮する一方で競争は激化するなど、経営的に難しい舵取りを求められる状況ですが、果たして新社長は次々と繰り出す改革で見事に経営を立て直すことができるのでしょうか?
その手腕に注目していきましょう。
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