東芝の「半導体売却」を迷走させた、最強の黒幕・アップルの怖い一言

 

しかし、そんな状況を避けるために、まずは(買収資金が必要だった)Western Digital 陣営に自ら資金提供者として加わりWestern Digital が経営権を握ろうとした途端にそれにストップをかけるあたりは、非常にしたたかな戦略だと思います。

ただし、Western Digital も黙って訴訟を引っ込めたりはしないでしょうから、結局のところは、東芝が和解金を支払うという形で解決するしかないのだと思います。

いずれにせよ、これは世界規模で行われている「原発ババ抜き」の最終局面の一つであり、なんとしてでも「準核保有国」になりたかった日本政府が、必死に背伸びをした結果、東芝に買収させたのがWesting House というとんでもないババだったという話でしかないのです。

あれだけの粉飾決済をしながら、東芝の経営陣が誰も牢屋に入らず、かつ、東芝救済のために政府系の産業革新機構、日本政策投資銀行が金を出す。日本は本当に資本主義の国なのか、と思わせる顛末です。

image by: aradaphotography / Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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