お酒を「原価」で飲める激安バーが、それでも儲けを出すカラクリ

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原価でお酒が飲める新感覚の肉専門ビストロが話題となっています。店名はズバリ「原価ビストロ BAN!」。果たしてお酒を仕入れ値で提供し、利益は上がるのでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、その計算され尽くした戦略・戦術を詳しく分析・解説しています。

原価販売を実現する工夫

お酒を原価で販売している注目の飲食店を分析します。

● KIDSホールディングスが展開している肉料理専門のビストロ「原価ビストロ BAN!」にフォーカスをあてます

戦略ショートストーリー

30~40代の会社員をターゲットに「食材や調理方法へのこだわりと原価管理ノウハウ」に支えられた「リーズナブルにお酒と美味しい料理も楽しめる」等の強みで差別化しています。

原価でお酒が飲める新感覚ビストロとして注目を集め、安くお酒が飲めるだけでなく、こだわりの肉料理もリーズナブルに提供することで、顧客の支持を得ています。

分析のポイント

原価販売を実現する工夫

「原価」でお酒が飲めるとは、すごいですよね。今までお酒を提供してきたお店は、それこそ星の数ほどあったと思いますが、お酒を原価で提供するチェーン店は恐らく初めてでしょう。

飲食業に関わらず、基本的に商品を仕入れた金額に利益分を乗せて販売するのが常識です。原価で販売していては儲けがでませんからね。ですから、「原価ビストロ BAN!」は、常識的な発想では生まれない衝撃的な存在と言えるでしょう。

競合他社に与える影響も大きいと思います。企業によって、原価は多少変わりますが、「原価ビストロ BAN!」によって、お酒の原価が明らかになっていますので、「原価ビストロ BAN!」に行ったことがある方が他店に訪れた際は原価にどのくらい乗せているのかなどもわかってしまいますし、割高感を感じてしまうことは避けられないでしょう。

「原価ビストロ BAN!」が多店舗化に成功すると競合他社に対して値下げの圧力にもつながるかもしれません。競合他社としては、値下げをすれば、利益を圧迫しますし、お酒を原価で販売するということは、現在のお酒での儲けを失うことを意味しますので、とても真似できるものではありませんから戦々恐々としている企業もあるでしょう。

では、なぜ「原価ビストロ BAN!」はお酒を原価で提供しても、儲けが出るのでしょうか。主な理由としては、下記の三つの理由が考えられそうです。

第一の理由として、入場料500円をもらっていることがあげられます。一人500円ですから、客数×500円は確実に儲けになります。

第二の理由として、メニューを20から30品目に絞っていることがあげられます。何を意味しているかというとメニューを絞るということは、材料を絞ることでもありますので、在庫を少なくすることができるということです。もし、多くのメニューを提供するのであれば、多くの材料を在庫として抱える必要があるため、在庫を管理するための費用が発生しますし、生鮮品は廃棄することにもつながります。つまり、メニューを絞るということは、利益を確保するための打ち手のひとつといえるわけです。

第三の理由としてあげられるのが、2時間制です。「原価ビストロ BAN!」は2時間制を採用していますので、多くの顧客を店に入れることができます。ということは、第一の理由にもつながりますが、客数が増えますので、入場料も増えるということですね。

上記のような工夫が、お酒を原価で販売しても儲けが出ることを実現しているわけです。

現在、「原価ビストロ BAN!」は、多店舗化に向けて、フランチャイズのオーナーを募集しており、なんと30店舗までは加盟金0円とのことです。

今後の「原価ビストロ BAN!」の動向に注目していきたいです。

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