先手を打った米国。「ソウルを火の海にしない」北朝鮮打撃法とは

 

また、米国による先制攻撃が行われたとみるや、北朝鮮は少なくとも短距離弾道ミサイル・スカッド、準中距離弾道ミサイル・ノドン、中距離弾道ミサイル・ムスダンなどを韓国と日本の目標に向けて発射するでしょう。これを封じ込めることも重要なテーマとなります。

そのように考えると、韓国の『中央日報』が伝えた「核・ミサイル施設などに対する先制・予防精密打撃」「北朝鮮指導部の除去」では、反撃されるリスクを避けることはできないので消去されることになります。

残る手段として考えられるもののひとつは、非武装地帯(休戦ライン)北側の砲兵部隊だけでなく、弾道ミサイルの部隊も使っている指揮通信系統を機能麻痺に陥らせるために行われるサイバー攻撃でしょう。

それも、2010年ごろにイランの核開発施設を数年にわたって稼働できない状態にしたスタックスネットのようなマルウェア(ウイルスとならぶ悪意のあるソフト)が、既に北朝鮮の指揮通信を司る回線に仕掛けられており、それが起動するという形です。スタックスネットは米国とイスラエルが共同開発したとされ、ロシア国内に亡命状態でいる元NSA(国家安全保障局)職員のスノーデンは、日本の重要インフラにも仕込まれているとオリバー・ストーン監督に証言しているそうです。

当然ながら、そうした形のサイバー攻撃だけでは万全ではないでしょう。

そこで浮上してくるのがEMP電磁パルス攻撃です。9月14日号のセキュリティ・アイで西恭之さん(静岡県立大学特任助教)が詳述したように、北朝鮮には米国に対して有効なEMP攻撃をしたり、EMP攻撃に対して行われる核兵器を使った米国の報復攻撃を無力化したりする能力は備わっていません。その意味で、北朝鮮がEMPを口にしたのは単なる威嚇とみなさざるを得ないのです。

しかし、そのEMP攻撃の能力を米国は十二分に備えています。サイバー攻撃と合わせて韓国のインフラなどに影響の少ない形でEMP攻撃が行われた場合、北朝鮮の弾道ミサイルによる反撃と非武装地帯(休戦ライン)北側の砲兵部隊の多くが沈黙させられることは明らかです。

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