先手を打った米国。「ソウルを火の海にしない」北朝鮮打撃法とは

 

国連総会でのトランプ大統領の演説を「宣戦布告」とし、太平洋上での水爆実験を仄めかす北朝鮮。ますます緊張感が高まる朝鮮半島情勢ですが、軍事衝突となってしまった場合、かつて北が「ソウルを火の海にする」と言い放った通り、韓国が甚大な被害を受けることは不可避と目されています。ところが先日、米マティス長官は、ソウルが危険にさらされない軍事的選択肢の存在を示唆。軍事アナリストの小川和久さんは自身が主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』の中で、既に進行中であるというその軍事的手段について詳述しています。

「ソウルは火の海」にならない?

マティス国防長官の発言(18日)が憶測を呼んでいます。

米国防長官「ソウル危険ない」軍事的手段検討 対北朝鮮

 

マティス米国防長官は18日、核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮への対応について、「多くの軍事的選択肢がある」と語った。「選択肢」には、北朝鮮による報復攻撃で韓国の首都ソウルが危険にさらされない方法も含まれていることを強調した。

 

国防総省内で記者団に語った。米軍が武力行使に踏み切れば、ソウルは約50キロ離れた南北軍事境界線沿いに配備された北朝鮮の長距離砲による攻撃で深刻な被害が出ると想定されている。このため実際に北朝鮮への先制攻撃を行うのは難しいとされてきた。マティス氏の発言は、そうした制約を減らすため、ソウルの被害を最小限に抑える軍事的手段を検討していることを示唆した形だ。(後略)

(9月19日付朝日新聞)

ソウルに危険が及ぶことが少ない軍事的手段とは、一体どんなものがあるのでしょうか。

韓国の新聞『中央日報』(9月19日)は次のように伝えています。

海外メディアはこの日、マティス長官の「ソウルに重大危険をもたらさない対北朝鮮軍事オプション」について、北朝鮮の核・ミサイル施設などに対する先制・予防精密打撃、ソウルを狙った休戦ライン北側の北朝鮮長射程砲や放射砲(ロケット砲)砲台無力化、北朝鮮指導部の除去のうちの一つかもしれないと分析した。

これ以外の報道にも共通しているのは、非武装地帯(休戦ライン)北側に展開する北朝鮮の多連装ロケットと野戦砲の大群を沈黙させることがカギ、という点です。1994年3月、特使交換をめぐる南北交渉の場で北朝鮮側が「ソウルを火の海にしてやる」と叫んだ光景は、いまなお韓国の人々の脳裏に刻み込まれているからです。

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