【書評】直木賞作家、痔の手術したってよ。朝井リョウの肛門事情

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『桐島、部活やめるってよ』や直木賞受賞作『何者』などで知られる朝井リョウ氏が赤裸々告白!? 今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さん取り上げているのは、そんな人気作家のエッセイ集。辛口の柴田さんが「とにかく面白くて実用的」と太鼓判を押す「肛門記」とは?

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風と共にゆとりぬ
朝井リョウ・著 文藝春秋

朝井リョウ『風と共にゆとりぬ』を読んだ。この作家の本を読むのは初めて。映画『桐島、部活やめるってよ』は鬱陶しくて、原作を読む気にはなれなかったが、タイトルはナイス。堂々たる造本で地味カバー(格調が高い? 虚勢を張った感じ)のこの本、三部構成のエッセイ集である。

第一部「日常」。小説に込めがちのメッセージや教訓を「込めず、つくらず、もちこまず」をモットーに綴ったという17編。結婚式へ押しかけ傍迷惑な余興、懲りなく参加する知り合いのいないバレーボール参加における空気の読めなさ、座談会でのはずしまくり、気の毒なエピソードの連続はけっこう読んでてつらい。

第二部は「プロムナード」。新聞購読者を読者にしたいという野心に司どられて綴ったという、日経の半年間連載、見開きコラム21編。あまり面白くないが、「私は、物語を作る人間の実力は、どこをどう書くか、ではなく、どこを書かないか、という選択に宿ると思っている」という決心みたいのが潔いと思う。

ここまでで全体の約3/4。もうやめようか思ったら、第三部「肛門記」ときた。なんじゃこれは?。こんなタイトルありか。痔瘻の発症、手術、入院、そのすべてを綴った「肛門界激震の一大叙事詩」であった(本人がそう言う)。この部は字体が古くからある名作みたいな感じで格調が高い、ようにもみえる。

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