世界の食文化を蝕む、米国がバラ撒いた「ファストフード」の猛威

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どこか懐かしい食べ物を愛情込めて紹介する無料メルマガ『郷愁の食物誌』。今回は、メルマガ著者のUNCLE TELLさんがファストフード文化に関する逸話を紹介しています。ハンバーガーやフライドチキンなどのファストフードが、伝統的な食文化や農村にどれだけダメージを与えたかについて、興味深い話がいくつも登場します。小さなお子さんを持つ方や食生活を見直そうとしている方は必見です。

ファストフード文化

日本など枢軸国の敗戦で終わった第2次大戦後、といっても早や60年以上も前の話だが、日本人の伝統的な食生活はアメリカ風に一変した。果たして深遠望慮があったかはわからないが、大量に入って来たララ物資、メリケン粉、乳牛製品などは、日本人の嗜好そのものも変化させ、更に子供らの給食を通して、長く構造変化的に体内に意識に、また文化として蓄積されることになる。

かくして次ぎの時代以降、日本はアメリカからの大量の穀物や飼料の輸入国になり、米食の割合は、年を追って少なくなり、稲作はとみに衰退。米あまり状態で価格も下がり、農家が作りたいと意欲を持っても、政府から稲作ストップのお達し。当然、休耕田が増え、農山村は荒廃。更に、現在、追い打ちを掛けるようにTPP問題も浮上している。

「ファストフード」といえば、一般的に、ハンバーガーやフライドチキン、ホットドックなどアメリカのチェーン店が作り出した安価で手軽に食べられる食べものを指す。残念ながら(?)、日本人は多かれ少なかれ、この「ファストフード」文化に染まっていると言っていいだろう。

幼時からファストフードの味を知り、成長し親になってもごく当然にファストフード世代、むろん子どもにも躊躇なくファストフードを与える。こんな循環がここ何十年繰り返されている。大量生産、大量販売による食のグローバル化で、世界中の食べ物や食べ方が均質化、簡便化が急速に進んでいる。というわけでファーストフード店は、アジアであれアフリカであれ、世界中のどこの地域へも進出してチェーン網を広げている。

ファストフード、ついつい便利ではあるので手を出してしまう。しかし競争で安価になるのはいいが、どんな肉や小麦粉を食べさせられているかわかったものじゃないとも感じている。

上記にあるように、ファストフードといえば、一般的に、ハンバーガーやフライドチキン、ホットドックなどアメリカのチェーン店が作り出した安価で手軽に食べられる食べものを指す。今や私たち日本人もは多かれ少なかれ、このファストフードを日頃の食生活の一部に取り込んでいる。

ところでこのファストフードはいつ頃始まったのか。これも、先にに紹介した「食べ物のひそひそ話」(青春出版社)に載っている話題である。ファストフードの中でもハンバーガーの起源については諸説あるというが1940年代マクドナルド兄弟が、カルフォルニアで開いたドライブインで販売して評判になったことが、広く知られるきっかけになったとか。

クルマで長距離を移動する際、食べながら運転出来ることが、ドライバーに重宝されたのだろう。かくして、カルフォルニアのハンバーガーは、縦横無尽に走るハイウェーに乗ってアメリカ中の大都市に広まっていったというわけである。

アメリカは周知のとおり移民の国、それぞれの祖国にはさまざまな食文化が存在するのだが、アメリカ全体を代表する料理は育たなかった。が、ハンバーガーはまたたく間に全米に広がった。安価にお腹を満たせるうえに、手軽に食べられるということで中産階級や貧困層に大いに好まれ、支持されたのである。

やがてチェーン店が続々増え、ファストフードは巨大ビジネスへ成長して行く。第2次大戦後は、それらのチェーン店は外国へも進出して行った。

一方、フライドチキンは、アメリカ南部に移民したスコットランド移民の鶏肉料理がアフリカ系アメリカ人の料理人に伝わり、現在のようなスタイルが出来上がったようだ。これもやがてチェーン店のパワーに乗って全米に。

日本へは、戦後、進駐軍によって持ち込まれ、1970年代、チェーン店の進出によって全国に広まっていったのである。

image by: Shutterstock

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団塊の世代以上には懐かしい郷愁の食べものたちをこよなく愛おしむエッセイです。それは祭りや縁日のアセチレン灯の下で食べた綿飴・イカ焼き・ラムネ、学校給食や帰りの駄菓子屋で食べたクジ菓子などなど。

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【著者】 UNCLE TELL 【発行周期】 月刊

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