年金支給75歳案、そもそも受け取る前に死んだら保険料は払い損?

 

1.昭和40年9月27日生まれの男性(今は52歳)

20歳になる昭和60(1985)年9月から昭和63(1988)年3月までの31ヶ月間は国民年金保険料納付済み。昭和63(1988)年4月から平成3(1991)年12月までの45ヶ月間は厚生年金加入。平成4(1992)年1月から平成12(2000)年3月までの99ヶ月は国民年金保険料を未納。自営業者として平成12年4月から平成29年9月までの210ヶ月は国民年金保険料を納付し続け、平成29年10月12日に亡くなった。夫は何の年金も貰えずだったですね…^^;。10月12日の死亡当時に生計を維持していた遺族は45歳の妻(前年の収入は850万円未満)と、15歳と13歳の2人の子供。遺族基礎年金は子供のある配偶者、または、子供に支給する権利が発生します。

なお、この夫が死亡した月の前々月までに年金保険料を納めなければならない期間の3分の2以上は保険料を納付したか免除期間でないといけません。または死亡した月の前々月までの直近1年間に滞納が無い事が必要。これを保険料納付要件といいますが、記録を見る限り3分の2以上も直近の1年間も満たしています。

で、配偶者と子供に遺族基礎年金を貰う権利が発生しますが、この場合は配偶者である妻が支給優先されます。「子供がいる配偶者」として。よって、配偶者である妻は遺族基礎年金779,300円(平成29年度定額)+子の加算金224,300円×2人=1,227,900円(月額102,325円)の支払い。ちなみに子供自身の遺族基礎年金は妻が貰ってる間は停止の状態なだけで貰う資格を失ったわけじゃない

この妻が貰ってる場合に、妻が死亡したり子供と生計を同じくしなくなったら妻の遺族基礎年金は消滅して、子供の停止されていた遺族基礎年金が停止解除されて子供が貰う事になる。

例えば、妻である母親から子が独立して子供と生計を同じくしなくなった時は妻の遺族基礎年金を貰う権利が消滅して、子供2人が遺族基礎年金を貰う。

子2人に対する金額は遺族基礎年金779,300円+子の加算金1人分224,300円=1,003,600円を子供2人で按分して支給になる。だから子1人に501,800円(月額41,816円)ずつ支給する。上の子が18歳年度末を迎えると下の子1人で779,300円(月額64,941円)を受給する。

話を戻しますが、遺族年金というのは基本的には終身年金ではありますが、それは厚生年金や共済年金の事であり、この国民年金から支給される遺族基礎年金は一番下の子供が18歳年度末を迎える事で消滅して0円になります。つまり、国民年金から支給される遺族基礎年金は有期の年金なんです。

また、この死亡した夫の過去に厚生年金に加入した期間45ヶ月間があるから遺族厚生年金は貰えないの? って気になる所ではありますが、残念ながら死亡したのが厚生年金加入中等ではないし、また、全体で年金保険料を納めた期間+保険料免除期間+カラ期間≧25年(300ヶ月)以上無いので遺族厚生年金は支給されない

年金を貰う際に超重要なカラ期間とは?(まぐまぐニュース参考記事)

全体の年金加入期間385ヶ月の中に99ヶ月の未納があるから、300ヶ月を下回ってしまう。ちなみに10年でOKっていうのは老齢の年金の話で、遺族年金は従来通り全体で25年以上必要になっている(未納期間除く)。

だからもし、せっせと国民年金保険料を支払ってきても、残された配偶者にそもそも18歳年度末未満の子供が居なければ遺族基礎年金は貰えずに今まで支払った国民年金保険料は完全に掛け捨てになってしまいます。

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