年金支給75歳案、そもそも受け取る前に死んだら保険料は払い損?

 

遺族基礎年金は有期年金に対して、厚生年金から支給される遺族厚生年金は基本的に終身年金だし遺族の範囲も配偶者、子、父母、孫、祖父母までと広い。よって、国民年金に関しては遺族基礎年金貰う条件が厚生年金より結構厳しいから、一定の掛け捨て防止の独自制度が設けられています。

それが死亡一時金と呼ばれるものです。厚生年金には無い。

上の例だとなんとか、この男性がちゃんと納めてきた国民年金保険料は遺族基礎年金として遺族に支払われたので掛け捨てにはならなかったですが、そうじゃないと完全に掛け捨てになるので掛け捨て防止として死亡一時金という制度が設けられています。

上の例で、もし夫の死亡時点で妻と18歳年度末未満の子供が居なかったのであれば遺族基礎年金は支給されませんでした。つまり妻である配偶者に18歳年度末未満の子供が居なければ、夫が今まで支払ってきた国民年金保険料は掛け捨てになります。

ただし、国民年金保険料を納めた期間が死亡月の前月までに3年以上あるから、仮に遺族基礎年金が支給される条件を満たしていなかったとしても妻に死亡一時金が支給される。

金額は国民年金保険料を納めた期間により最低120,000円~最高320,000円となる。この夫は国民年金保険料を納めた期間が241ヶ月あるので、定額で170,000円支給される。

なお、厚生年金や共済組合に加入してた人(国民年金第2号被保険者という)や、配偶者の扶養に入っていた人(国民年金第3号被保険者という)の期間は死亡一時金の月数にはカウントしない。

国民年金保険料免除期間も月数に含みますが、ちょっと月数の数え方が違う。例えば国民年金保険料を1ヶ月分ちゃんと納めたら1ヶ月にカウントするけど、仮に国民年金保険料を4分の3免除だったら「4分の1ヶ月」としてカウントする。4分の3免除期間が36ヶ月なら、36ヶ月÷4×1=9ヶ月って事。ちなみに全額免除期間は含まない

死亡一時金(日本年金機構)

死亡一時金が支給される遺族の範囲は配偶者、子(年金と違って18歳年度末とかは関係無い)、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で一番上の順位者が請求する。遺族年金は本人死亡当時の遺族の前年収入を見るけど、死亡一時金は収入までは見ない。同居みたいに生計を同じくしてるかどうかを見る。

なお、請求する人が複数の場合(例えば請求者は子であり、人数が3人とか)は、1人がした請求により1人に支給した死亡一時金はその3人全員にしたものとみなされる。1人に支給された170,000円は3分割しなければならないわけではなく、自由に分けて構わない。

※追記

国民年金からの独自の遺族給付に寡婦年金というものもあります。夫が65歳になって老齢基礎年金(今まで障害基礎年金も受けた事が無いのも含む)を貰う前に亡くなったら、今まで納めた国民年金保険料が掛け捨てになってしまうので、この年金も死亡一時金同様掛け捨て防止目的。ただ、寡婦年金という名前なので妻にしか支給されない

遺族基礎年金が支給されない場合は、先程のように死亡一時金をもらう事ができましたが、死亡一時金ではなく寡婦年金を選択する事も可能。ただし、60歳の翌月から65歳到達月までの支給に限る。65歳から老齢の年金貰うまでの繋ぎのような有期年金。国民年金第1号被保険者のように自ら国民年金保険料を納めた期間と免除期間合わせて10年以上あり(学生特例免除や若年者猶予免除期間は10年に含まない)、婚姻期間が10年以上あれば請求可能。

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