漢方薬や医薬の世界は日々、少しづつ進化を続けていますが、その原点はスイカカズラ、ヨモギ、ゲンノショウコやヘチマといった「薬草」にあるってご存知ですか? 今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では、著者で科学者のくられさんが、昭和初期の薬草の書を紐解き、さまざまな薬草の効能(切り傷・肌荒れ防止・栄養補給・健胃効果・歯磨き)を紹介しています。
暮らしの科学 サバイバル薬草術
以前、昭和初期に書かれた薬草の書があったので、そこに書かれていたものを少しまとめていました。今回はそこから抜粋して少し紹介。こうした野草の利用から漢方薬や医薬が発展していったのかと思うとなかなか感慨深いものがあります。某サバイバル科学漫画の主人公もこうした知識もあったから、いろいろと生き延びたのでしょう!
・切り傷に効く薬草
植物:椿の種、ヨモギ、スイカカズラ、ゲンノショウコ
医薬品のない状況で切り傷には、ヨモギやスカカズラ、ゲンノショウコをすり潰した汁を擦り込むことで抗菌作用が働き、化膿を防ぐことが出来る。綺麗な水でしめらせた栗や柿の落ち葉などは絆創膏代わりに使うことができる。また、椿などの油の多い植物の種を潰し煮ることで油を分離、その油を傷口に付けることで止血効果。
・肌荒れに効く薬草
植物:キカラスウリ、カラスウリ、ヘクソカズラ、ヘチマ
ウリ科の植物の多くに強力な保湿因子が含まれているので、乾燥や炎症などの肌荒れに薬草として用いることができる。そのままぬるい風呂(40℃以上にしないこと)に実を潰したものを入れても良いし、つぶした汁を塗った後、しばらくしてから水で洗い流すと保湿成分と消炎効果が期待できる。
大正時代の調剤によると、キカラスウリ、カラスウリ、ヘクソカズラの実をエタノール(度数の高い酒)と水を1:1で混ぜたものに付け込み、さらに1/4量のグリセリンを加えて1週間ほど保存したものを化粧水として使うとある。
・胃に利く薬草
植物:ゲンノショウコ エビスグサ種子
ゲンノショウコには健胃効果があり、漢方薬としても用いられている。特にエビスグサの種子とあわせて胃潰瘍手術後の薬草療法として使われていた実績がある。使い方はゲンノショウコを10~30gにたいしてエビスグサの種子を10~30gを一緒に煎じて飲む。便通が悪い場合はエビスグサの種を増量し、煎じると良い。
・栄養不足を補う
植物:米ぬか ごま油
米ぬかには極めて大量の必須栄養素が含まれており、変なマルチビタミンより遙かにミネラルとビタミンに優れている。米ぬかをフライパンで煎ってカラカラに乾燥させたものにごま油を垂らし、練り固めて飲み込める程度に小分けし保存。1日に大さじ1杯ほどの米ぬかを摂取すれば1週間ほどで肌の張り艶や、精力などが回復してくることがある。コンビニ食やインスタント食の多い人ほど効果が覿面。
・歯ブラシになる草
植物:トクサ(トグサ)
天然のやすり成分として使える。爪を切った後の爪磨きの他、やわらかくほぐしたあとは、表面の研磨剤が歯磨き粉の役目を果たし、歯を磨くことができる。エナメル質を傷つけることなく、歯石も削り取ることができるため、かつては盛んに利用された。
・食べられる野草
植物:ヤマブキ、イタドリ、カタバミ、タンポポ
ヤマブキやイタドリはどこにでも生えている野草なので、湯がいてあくをとったのち食べることができる。カタバミはクローバーに似た雑草でそこら中で見ることができる。クエン酸や酒石酸などの有機酸を多く含み、軽く茹でて食べることで滋養強壮効果がある。タンポポはキク科の植物で葉は茹でるだけで食べられ、根っこは乾燥させてから煎じるとお茶になる。
image by: Shutterstock