購入履歴を国が記録…マイナンバー還付案、新聞各紙はどう捉えた?

 

低所得者対策こそが必要

【読売】は1面左肩に「給付額に一律上限」の見出しで記事を置いている。2面と11面に関連記事。

uttiiの眼

「買い物時に、金額のデータを共通番号制度のマイナンバーカードを通じ、政府が新設するデータセンターに保存。たまった金額を後から支払う。」との記述。ちょっと横道にそれるが、「政府が新設するデータセンター」というのは恐ろしい。そのうち、「国民情報省」なんて名前が付いたりして、悪巧みを始めるのではないかという気がする。ビッグ・ブラザーの具体的イメージ。

ところで《読売》のこの記事は、昨日から引き続き、「上限を設ける」ことに対する批判のトーンで貫かれている。今日も「こうした仕組みは、消費者の増税負担を和らげるという本来の目的にはほど遠い」と厳しく批判。《朝日》がこの制度に対する「承認」の雰囲気を漂わせているのと対照的だ。

さらに驚くのは2面の記事。「公明 反発広がる」の見出しは、《朝日》が書いた「公明乗る」とは正反対。公明党幹部が「原案はハッキリ言って軽減税率ではなく、単なる給付措置だ。有権者に説明できない」と語ったとされ、幹部の対応も曖昧な印象だ。大見得切って「軽減税率実現!」などと大騒ぎをしてしまった公明党は、安保法制に加えて、この問題でも大恥をかき、大混乱を来すのかもしれない。

もう1つの関連記事にはさらに驚くような事が書かれている。「消費増税分給付どうみる」と題された識者のコメントには、今回の原案について「低所得者対策としては無理がある」、「大企業なら容易かもしれないが、零細事業者には負担が大きい」、「高齢者は大変な混乱に陥るだろう」として、「消費者の負担が増えるような政策はやめてほしい」というところに至る。「そもそも政府・与党は、10%への増税時に、低所得者対策として軽減税率を導入すると言っていたはずだ」と難じる識者は、主婦連合会参与の山根香織氏だ。

昨日の事実上のスクープに始まる《読売》の展開は、もしかしたら、この山根氏が情報源で、記者は山根氏の考え方を下敷きにして取材したのかもしれない。そんな気がする。

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