購入履歴を国が記録…マイナンバー還付案、新聞各紙はどう捉えた?

 

痛税感の緩和ケアだったのか…

【毎日】は1面トップで「マイナンバー使い還付」との見出し。本文の見出しは「消費者 残る痛税感」。

uttiiの眼

《毎日》の1面記事の特徴は、問題の中心を「痛税感」に置いている点。リードの最後に「後日の還付では消費者の負担感を抑える効果は限定的になると見られるなど、問題点も残されている」とある。まあ、後追いなので、《読売》とは違う書き方をしなければ、というプレッシャーがあったかもしれないが、これは若干横道にそれることになったかもしれない。

この原案が既に安倍総理と菅官房長官に説明され、了承を得たというのは他紙は書いてない内容。

「しかし、普及する見通しが立っていないマイナンバー制度を前提としており、実際に機能するかは不透明だ。マイナンバーカードの取得は任意で、還付が行き渡らない可能性がある」という指摘はその通りだろう。

記事の最後の部分はこの問題についての公明党山口代表の反応で、独自の内容を含む。首相官邸で記者団に語った内容なのだが、「痛税感を和らげて経済全体の消費マインドを冷やさないことが重要だ」と指摘し、財務省案を精査する必要があるとの認識を示したと。さらに「政府には心して説明にあたって頂きたい」と語り、財務省が主導して流れを作ろうとしている状況に苦言を呈したと。

この最後の一文が重要。記事には現れない様々な取材の成果を込めた「評価」が書かれているからだ。公明党の立ち位置についての《毎日》の捉え方は、《朝日》と《読売》の、ちょうど真ん中くらいかと思う。

3面の解説記事「クローズアップ2015」は、見出しが「制度設計 場当たり」。マイナンバーを使う前提について、批判的に書かれている。読み取り機械の設置が17年4月には間に合いそうにないこと、普及のバラつきは不公平を生むこと、プライバシー保護に問題があるカードを持ち歩くという危険、また税収減を最小限にしたい財務省が「上限」を低く抑えようとするだろうということなど。

《毎日》は最も重要な点に気付いたようだ。「財務省には、消費税の負担軽減制度の導入を機にマイナンバーの普及を加速させたいとの思惑があるとみられる。」とハッキリ書いている。

公明党については「困惑が広がっている」との評価。後日還付という方法に「有権者の理解を得られるのか」との懸念、さらにマイナンバー前提の仕組みについても「SF映画のような未来の話で非現実的だ」という幹部の声を紹介している。「このままでは公明党の理解は得られないだろう」という自民党税調幹部の発言も。公明党、全然この仕組みに乗ったなんていう状況じゃないでしょう。ねえ《朝日》さん

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