人前に出ると極度に緊張…「社交不安障害」とは何なのか?

2017.10.12
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by gyouza(まぐまぐ編集部)
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社交不安障害はSAD(Social Anxiety Disorder)の訳語で、社交不安症とか社交恐怖、社会不安障害とも呼ばれます。

スピーチなどの対人的な場面で、不安や恐怖を強く感じてしまって、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く出る不安障害のひとつです。

不安や緊張が強すぎて対人場面を避け、日常生活に影響を及ぼすこともよくあります。

その症状や特徴について、詳しく解説していきましょう。

社交不安障害の症状

人前で何かをしたり、初対面の人と交流するといった場面は、誰でも多かれ少なかれ緊張するものですが、過剰な緊張をするのが社交不安障害です。

次のような経験がよく起こります。

・人前で話そうとすると極度に緊張してしまう

・受付や窓口など、人前で字を書こうとすると手が震えてしまう

・電話に出るのが怖くて、オフィスなどで電話が取れない

・人といっしょだと食事がのどを通らない

・目上の人の前で話せなくなる

・初対面の人には、どう振るまえばよいのかわからずガチガチになる

・1対1になるのが怖い、とくに異性の場合だと口もきけなくなることもある

・「それほど親しくはないが、見知らぬ他人でもない」という関係が、いちばん苦手

・人前でお腹が鳴ったり、おならが出ないかと心配でたまらない

・近くに人がいると緊張して、排尿できなくなる

・他人の視線が怖い

・自分の視線が他人に不快感を与えそうで怖い

・他人の反応にひどく敏感

・自宅以外の場所だと、つねに緊張感を強いられている

・どこにいても孤立してしまう

・何を話せば、どんな風に声をかければ、どう返答すればよいのかコミュニケーションの取り方がわからない

緊張すると現れる身体症状が、引きこもりの原因に!

上に挙げたような社会的状況で緊張が高じてくると、次のような身体症状が出ます。

・赤面
・動悸
・吐き気
・口の乾き
・手足や声のふるえ(振戦)
・息苦しさ
・顔のこわばり
・発汗
・めまい

…など

こうした身体症状は、社交的場面を苦手とする本人の自信を失わせ、また同じ場面になると同じ症状が出るのではという「予期不安」となって苦手意識を強くし、次第に苦痛をもたらす状況を避けるようになっていきます。

変な人だと思われたくない!

対人場面で極度に緊張したり不安を感じたりするのは、本人に、他人の目に自分がどのように映っているかが、非常に気になっているからだといえるでしょう。

社会的な症状や身体的症状もさながら、それ以上に、そんな症状を相手に見られることによって、「あの人は変な人だ」と悪く評価されることを非常に恐れ、そうならないよう深刻に悩んでいます。

そのため、社会的な場面を回避するようになり、次第に引きこもりがち、孤立してしまいがちになります。

性格というより病気だということ

社交不安障害は一般に、10代から20代半ばまでに発症し、男性よりも女性にやや多いとみられています。

うつ病やアルコール依存症などとの合併率も高く、また、治療しないまま症状が経過していることも多いといわれ、数十年にもわたって症状が続き、日常生活や学業や仕事に支障をきたしている人も少なくないといわれています。

これには、社交不安障害を「内気」「人づき合いの苦手さ」といった性格や気持ちの問題だとみなし、これを病気だという風にはなかなか考えない風潮があることも一つの要因かと思われます。

本人も周囲の家族や知人も、こうした傾向を病気だとみなして、本人は「治療」を受け、周囲は患者さんのことを理解し、追い詰めないでサポートすることを学ぶ「心理教育」が重要だといわれるようになってきました。

社交不安障害の治療や改善について

社交不安障害の傾向は、多かれ少なかれ誰にでもあるものですが、それがひどい場合は、放置しておかないで、周囲の人に相談したりセルフチェックを行ったりして、受診を試みることが大切です。

心療内科や精神神経科が専門ですが、社交不安障害に詳しい専門医にかかることが望ましいでしょう。

社交不安障害の治療の基本は、薬物療法と心理療法です。

薬物療法では交感神経の抑制によって、動悸を抑えたり血圧を下げたりする「β遮断薬」、不安を和らげる「抗不安薬」、そして、行動パタンを変えていく基本薬となる「SSRI(抗うつ薬)」などが適宜用いられます。

また、心理療法については、不安についての取り組みや消極的な考え方を改善していく「認知行動療法」が行われます。

さらに、社交不安に立ち向かう方法として、社交術(SST:ソーシャル・スキル・トレーニング)を学んだり、呼吸法や筋弛緩法などリラックス法を身につけたり、場合によっては、あえて苦手な場面を作り出して、徐々にそこに身を置くことに慣れていく「エクスポージャー:暴露法」なども用いられます。

これらは、信頼できる主治医に従って実施していくことが重要です。

 【参考】

・貝谷久宣『社会不安障害のすべてがわかる本』講談社、2006.
・『今日の精神疾患治療指針』医学書院、2013.

 

執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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