吉田:まぁ百歩譲って、そのクルマが停車していなかったら車線の右側へ自転車も膨らんで走行しなかったと言いたい理由や気持ちは分かります。ですが、自転車だって軽車両ですからもっと安全運転を心がけるべきなんです。自らの目で左右後方を目視することを癖付けない限り、チャリテロは決して減ることはありません。ですから、サイクリストは軽車両という危険なモノに乗って走行している認識を持つ必要があると思うんです。この接触事故を起こしたサイクリストは頻繁に事故も起こしているし、当たり屋と思う方が普通ですが、自転車と歩行者を同じ感覚で扱っているとしか思えません。
Tさん:それは私も思いました。過去の事故事案を掘り下げていくうちに”自分は弱者”との感覚で自転車を走らせていなかったらここまで、短期間で数多くの事故に遭遇することはなかったはずです。今回も右後方からクルマが来ているかいないかの目視をしていれば接触事故に発展することもなかったですし、いくら停車しているクルマが邪魔だったからとはいえ、右車線へはみ出す際に後方確認を怠るというのは運転者としての責任義務が果たせていません。クルマやバイクを運転する方は予測運転という常に事故を予見しながら運転することを義務付けられていますが、自転車にもしっかりと予見義務を植え付けていかないと、決して事故は減らないと私は思います。
今回のケースでは自転車側の弁護士からは「クルマの運転手は事故予見の可能性を持ったうえで運転しなくてはいけない」と突き付けられ、最終的に注意義務違反として、クルマの方は安全運転義務違反にも問われました。自転車の方の弁護士が相当経験が豊富だったのか、「この状況下では自転車が車線へはみ出してくるだろうとクルマ側には予見しながら回避義務もある」とか「クルマの運転手側も停車中のクルマの存在を知っていたことから、自転車がもしかしたら自分自身が走行している車線へはみ出してくる可能性を予見運転できなかったのも責任義務があるわけで問題がある」などと攻め込んできていたようで、日本が誇る”弱者救済措置”が裁判でも発動してしまったんです。
吉田:うわぁ、酷い展開ですねぇ。徹底的にサイクリスト側が被害者ヅラしてますな。
(次回へつづく)
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