王者セブンを焦らせる、ファミマの「ファストフード」売上28%増

 

経営統合により「サークルK」と「サンクス」が加わったことで、ファミマはグループで全国に約1万8,000店を展開するにまでなりました。2万店弱のセブンに国内の店舗数では肉薄しています。

しかし、売上高などでは大きく引き離されています。16年度のセブンのチェーン全店売上高は4兆5156億円でファミマ・サークルK・サンクス(3兆96億円)の1.5倍です。営業利益は5.7倍にもなります。セブンがファミマを圧倒している状況です。

日販(1日あたりの平均売上高)も大きく水をあけられています。17年3~8月期の1店あたりの平均日販はセブンの66.3万円に対し、ファミマは53.1万円、サークルK・サンクスは39.5万円にすぎません。日販差は13万円以上もあり、大きく引き離されている状況です。

日販を引き上げるには中食の充実が欠かせないとファミマは判断しています。特にファミマはFFが弱点でした。16年度のFFの売上構成比はわずか5.7%にすぎません。セブンの29.9%と比べるとファミマのFFの弱さが際立ちます。そうしたなか、今回の決算でFFが大きく伸長したことは、推進している「中食構造改革の成果の賜物といえそうです。

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ファミマは「中食構造改革委員会」を立ち上げ、14年の春ごろから弁当や総菜、FFなどの中食の充実化を図ってきました。そのために工場の再編を打ち出し、総合工場を「米飯専門」「チルド専門」といった温度帯別工場へ順次切り替えていきました。これにより製造品目数を削減することができ、商品品質の向上と製造の効率化が可能となったのです。

14年3月には「サンドイッチを刷新しています。丸刃スライサーで1枚ずつスライスした食パンを使用し、なめらかな口当たりにしました。サンドイッチはその後も刷新を重ねています。今年3月に刷新したサンドイッチは発売開始から7日間で600万個を販売し、売上高は前期比で120%を超えたといいます。

おにぎりも進化しています。15年7月に約2年ぶりとなる全面的な刷新を行いました。ご飯の炊飯、海苔の焼き方、具材の選定から調理方法に至るまで、全ての面を見直しています。

おにぎりはその後も改良を加え続けています。16年3月に使用する塩をマイルドな味が特徴の「藻塩」に変更しました。その後も改良を重ね、今年4月に刷新して発売したおにぎりは一時期、前期比で140%を超えるなど過去最大の売り上げを記録したといいます。

総菜の販売も強化しています。16年8月からは冷蔵オープンケースで展開する総菜「ファミデリカ」の販売を開始しました。ガス置換充填のトレイパック商品「ひじき煮」や「銀鮭の塩焼き」などを発売しました。

今年9月からはファミデリカを進化させた冷蔵総菜売り場「お母さん食堂」の本格展開を開始しました。「母親がつくるような総菜」をコンセプトとし、「切り干し大根」や「ハンバーグ」などを取り揃えています。

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