遺族年金で「18億円の過払い」が判明。なぜ、払い過ぎは起きたか

遺族年金 過払い
 

以前掲載の「年金598億円が10万人に支給漏れ。過ちはなぜ起きたのか?」では10万人分、598億円にものぼる年金の未払い問題についてお伝えしましたが、今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では、先日判明した「遺族年金18億円過払い問題」について、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが原因と防止策についてわかりやすく解説しています。

遺族年金18億円過払い事案発生で思う事と、遺族年金が消滅するケース

つい先月、年金の振替加算の600億円程の未払い発覚で大きな問題になりましたが、今度は逆に遺族年金の受給者への年金払い過ぎ問題が発覚しました。現在の遺族年金受給者の方は、遺族基礎年金のみの受給者は約11万人で、遺族厚生年金を含めると500万人程の方がいます。とりあえず今の段階で発覚した1,000人程に約18億円の過払いがあり、その内8億円が年金の時効で返納させるのは不可だとか。

今回の遺族年金の過払いは遺族年金の受給権利が無くなった(失権という)にもかかわらず、その失権の届け出をやらなかった事で遺族年金を貰い続けて過払い発生の過程。年金機構が把握しなかったのも悪いですが、本来は受給者側が届け出をやらなきゃいけないもの。失権事由に該当したらすみやかに届け出なければならない

遺族年金が失権した場合(日本年金機構)

何年か前も年金払い過ぎの問題がありましたが、あの時は年金受給者が死亡したにもかかわらず、家族がその死亡の事実を隠して死亡者の年金を貰い続けたという詐欺事件。

ところで、なんで遺族年金で過払いが起きたりするんでしょうか。普通は老齢の年金であれば、本人が死なない限り失権せず終身貰えますが、遺族年金はそうじゃない。遺族年金には失権に該当する場合が複数あるんですよ。

まず、

ア.受給者本人の死亡
イ.婚姻した
ウ.直系血族以外または直系姻族以外の者との養子縁組
エ.亡くなった人と離縁した
オ.遺族年金を貰っている子や孫が障害状態1、2級以上に該当しなくなった時(18歳年度末未満までは除きます)

アに関しては、まあ当然ですね^^;。

ウ.の養子縁組は自分の父母、祖父母、子、孫などの直系血族以外の人や、配偶者の父母、祖父母、子、孫などの直系姻族以外の人と養子縁組をすると遺族年金は消滅します。

エ.は亡くなった人(遺族年金の発生原因の人)との養子縁組の解消をいいます。

オ.は子や孫が遺族年金貰う場合は18歳年度末未満までですが、その子や孫が障害等級1、2級以上に該当すると子が20歳になるまで遺族年金が延長される。しかしその間障害状態2級以上に該当しなくなると遺族年金は消滅する。20歳まで支給を延長してもらうには、18歳年度末までに障害状態を判断するための年金事務所備え付けの診断書を医師に書いてもらって提出する必要がある。

で、イ.の婚姻したですが、死亡したを除くとこの場合が遺族年金失権の理由としては一番多いかと。しかし、遺族年金受給者が結婚したなんて届け出てもらわないとわかんないんですね。

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