iPhoneを生み出せなかった日本企業の「しくじり」を中島聡が分析

 

この「魂」の話に説得力を持たせるために、私が引き合いに出したのが、Simon Sinek Golden Circle です。このメルマガでも彼の TED Talk “How great leaders inpire people” を紹介したことがあるので、ご存知の人も多いと思いますが、商品の購入の際に、人の心を一番動かすのは、どんな機能があるか(WHAT)や、それで何ができるか(HOW)ではなく、なぜ自分はそれを持たなければならないかWHY)という部分だ、という話です。

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この「WHY」は、単に商品を売る段階の話だけではなく、商品を開発する段階からとても重要なのです。そこを熱く語れるリーダーがいてこそ、優秀な人を集められるし、彼らが情熱を持って働いてくれ、結果的に「魂が込められたもの作りが出来るのです。

iPhone が出てすぐ、ソニーで働く知り合いが、「あんなもの、ソニーでも簡単に作れる」と批判的に語っていたので、「なぜ作らなかったのか?」と尋ねたところ、「作らせてもらえなかった」という答えが返ってきました。私から見れば、この返事こそが「当事者意識の欠如の証拠なのです。

大企業のサラリーマンは、よくこの手の「言い訳」をしますが、結局、世の中は「作ったもの勝ち」なのです。上司の反対を押し切ってでも物作りをしてしまう、もしくは、会社を飛び出しても物作りをしてしまう、そんな情熱を持った人たちだけが、イノベーションを起こせるのです。

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