学校が事実を曲げないなら警察へ
この件では、被害者側が事実を押しのけて、切りつけられたのだという理由で警察に被害届を出した。毒ぺからすれば、学校で処分が望めないのならば、警察に処分してもらおうという腹だろう。
一方で、加害者側の親も一点では困った親なのだ。まず、加害側の親は形式的な謝罪はしても、それは咄嗟の謝罪であり、被害者側がしっかりと謝ったという認識がない状態なのだ。
こうした謝罪の後回しは、そのタイミングを逃したというのが多いが、日が経つほど謝罪の機会を失うことになる。
また、加害児童もハサミを持って威嚇をしたというのは、あまりに行き過ぎた行為であり、そこには犯罪予備群とも言える危険な心理状態にあることがわかる。
故に、通例ではカウンセリングを受けるなどして、そうしたことが2度と起きないように教育していくことが大事だとされているが、親父の激昂説教でも対応は可能だろう。ここでこその親力であろう。
毒ぺはどこにでもいる
毒ぺはどこにでもいるのだ。そして、分かりやすい毒ぺはモンペ(モンスターペアレンツ)となり、こういう存在は校内に1~2組くらいだろうが、実は隠れ毒ぺが一番多いのだ。
私が見た中で共通する特徴は・・・
- 自分の子のみ、依怙贔屓する。
- 学校ボランティアなどは我が子が関係するパートのみ担当する。
- アポなし訪問など自分の都合と気分で行動を起こす傾向がある。
- 教員の悪口などを平気で言う。
- 年下には横柄な態度に出やすい。
- 常に頭の中で、保護者間の優劣順位をつけている。
- 夫の年収や地位をやたらと気にする。
だいたいこの特徴に3つ以上当てはまると、隠れ毒ぺの可能性が高い。
こうした毒ぺ対応に教員がすり減る
多くの教員は、全てにきちんと対応しようとする傾向が強い。もちろん中にはどうしようもないのがいるが、それはどの社会でも同じだと言っていい。
いい加減な教師は、毒ぺにも適当に対応し、適当に怒られて、適当に対応をサボるわけだが、真面目で子どもたちには最適だと思われる教師は、毒ぺ対応に振り回される結果になる。
つまり、真面目で授業も面白く、子どもたちからも教え方がうまいと評価が高かったり、真摯に向き合う姿勢から信用されているような、本来学校にいてほしい教師ほど、こうした毒ぺが暴れ出すことで、対応に追われ時間を取られ、気持ちをすり潰されることになりやすいのだ。
この件で対応に最も追われたのはこの学校の校長であった。
彼は児童から慕われ、彼の講話は非行気味の少年少女らでも真面目に聞く。また、多くの保護者ともコミュニケーションを取り、「いい人」「あの校長なら任せられるね。」と評判も上々であった。
ただ、私が見る限り、彼にはあまり毒がないし、時に押し切るようなパワーはない。とにかく優しいのだ。これだと、一校を率いるトップとして、ガバナンスという面では弱さを感じる。
彼は保護者会でも言ってはいけないことが多い教員(管理者)という立場からとにかく歯切れが悪くなった。言いたいけど言えないことが多いのが権利を剥奪されまくった今の教師の姿とも言える。
毒ぺは、歯切れの悪い校長を見て、こう言ったそうだ。
「はっきりしろよ。クビにすんぞ」
私は児童たちに聞いて見た。
「もしも、校長先生がこの件でクビになっちゃったらどう思う?」
児童ら「ダメだよやめちゃ。」「学校くるのがつまんなくなる。」
学校無償化、それはいい。是非ともやってくれと思う。しかし、より良い教育環境を整えるには、教員の数だけではなく、こうした毒ぺにも対応できる仕組みを構築すべきなのだと思う。
教育投資はのちに3倍以上になって戻ってくるというのが常識なのだから。
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