打倒マクドナルド。韓国資本を離れた「バーガーキング」の逆襲

 

果たして、どのような戦略で日本での事業拡大を目指すのか?

さて、今回はしがらみを断ち切った新たな資本での挑戦となりますが、バーガーキングはどのような戦略で日本市場での拡大を目指すのでしょうか? その可能性を戦略のフレームワークをベースに検証していくことにしましょう。

ビジネスにおいて、競争を優位に展開するために「3つの基本戦略」があります。一つは「差別化戦略」であり、二つ目は「コストリーダーシップ戦略」、そして最後の三つめは「集中戦略」になります。

まずは差別化戦略から検証していきましょう。差別化戦略では、ライバル企業が真似できないような製品を投入し、顧客を惹きつけて売上アップを目指していきます。たとえば、バーガーキングであれば、ライバルであるマクドナルドよりもおいしいハンバーガーを提供し、顧客を奪っていくことになります。

ところが、日本のハンバーガー市場では、すでに業界2位のモスバーガーが差別化戦略で一定の成功を収めています。モスバーガーは2017年9月30日現在、日本国内で1,353店を展開し、売上高は2017年3月期で709億円を超えています。もし、バーガーキングが日本市場で差別化戦略を採用する場合、マクドナルドよりもモスバーガーが強敵として立ち塞がることになるでしょう。

続いて、コストリーダーシップ戦略はどうでしょうか? コストリーダーシップ戦略では、大量出店を行って、食材の調達コストなどを引き下げ、ライバルよりも低価格で商品を提供し、競争を優位に展開していきます。ただ、日本市場では業界トップのマクドナルドがコストリーダーシップ戦略で市場を支配し業績が回復してきた現状では到底太刀打ちできないレベルに達しています。

マクドナルドは、2017年6月30日時点ですが、日本国内で2,896店を展開し、2016年12月期の全店売上高はおよそ4,385億円。業界のリーダーだけに、商品はフルラインナップを揃え、100円マックの低価格帯から490円の「グランクラブハウス」などの中価格帯まで、メニューは実にバラエティに富んでいます。

加えて最近ではスムージーやフラッペなど、健康やスイーツを意識したメニューを投入して新たな顧客開拓を推し進めるなど、全方位戦略で好調を維持しており、付け入る隙は益々無くなってきているのです。

それでは、最後に集中戦略を検証してみましょう。集中戦略とは、特定の製品や顧客などにフォーカスして、ニッチな市場で圧倒的な地位を築いて競争を優位に進める戦略です。たとえば、ハンバーガーであれば、「超高級バーガー」にフォーカスして、グルメに関心の高い顧客をターゲットにビジネスを展開していくことも一つの集中戦略といえます。

ただ、この分野でも最近日本市場では「UMAMI BURGER」や「Shake Shack」など本場アメリカで話題のチェーンが次々と参入し、オープンした店舗では行列が絶えないなど非常に高い人気を博しています。これらのチェーンは、高価格にもかかわらず、熱狂的なファンも多く、バーガーキングが直接戦ったとしても勝利することは至難の業といっても決して過言ではないでしょう。

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