バーガーキングに日本で事業拡大をする余地は残されているのか?
このように日本のハンバーガー業界をざっと見渡して、ポジショニングマップを作成すれば、バーガーキングに残された余地は限りなく少ないことがわかります。
マクドナルドやモスバーガーなど、すでに確固たる地位を築いたハンバーガーチェーンに加えて、今やアメリカ市場で同じようなポジショニングの「Carl’s Jr.(カールス・ジュニア)」や「Wendy’s(ウェンディーズ)」も日本に再参入を果たし、虎視眈々と事業拡大を狙っているのです。
バーガーキングとしては、前にも述べたように2014年から2015年にかけて、業界トップのマクドナルドに異物混入など食の安心安全を脅かす不祥事が相次ぎ、顧客離れが加速して、次々と不採算店舗を閉鎖する際に、事業を拡大するチャンスがあったにもかかわらず、実現できなかったのが痛いミスといえるでしょう。
バーガーキングは、2014年には当時81店だった店舗数を2016年末までには200店舗まで拡大する方針を打ち出していましたが、結局は2017年も終わりに近づいた現在でも98店舗に留まっているのです。
ビジネスに勝利するためにはタイミングも重要な鍵を握ります。
今や圧倒的なリーダーは瀕死の状態から回復し、熱狂的なファンを抱える強敵が次々と日本市場で存在感を増している状況を見れば、バーガーキングは事業拡大の大事な時機を逸してしまったといえるのではないでしょうか。
バーガーキングの現実的な事業拡大戦略とは?
それでは、現実的にどのような戦略で事業拡大を図ることができるのでしょうか?
バーガーキングのコア・コンピタンス、すなわち競争上の核になる強みは「世界第2位のハンバーガーチェーン」ということができます。
つまり、バーガーキングは、世界第2位のハンバーガーチェーンとして資金力も潤沢ですし、グローバルサプライチェーンをフル活用すれば低コストで高品質の食材を調達することもできるのです。
ただ、バーガーキングの「最強の武器」も世界第1位のマクドナルドの前では通用しません。そこで、日本市場においては、事業拡大のためにマクドナルドやモスバーガーなど、すでに独自のポジションを築いている強力なライバル企業とは直接戦わずに、ロッテリアやフレッシュネスバーガーなど、比較的与しやすい企業をまず叩いてから、マクドナルドやモスバーガーに挑戦するという戦略が現実的といえるのではないでしょうか。ロッテリアは359店舗、フレッシュネスバーガーは166店舗と上位2社に比べれば店舗数も少なく、互角以上の戦いに持ち込める可能性は高まります。
また、直接戦わなくても買収を通して味方につけるという戦略も選択肢の一つになるでしょう。特にフレッシュネスバーガーは2016年に「牛角」などを運営するレインズインターナショナルに買収されたばかりであり、相乗効果が見込めなければ、全株式を手放すことも十分に考えられます。
他にもいろいろと手はあると思いますが、バーガーキングは韓国のロッテリア資本から離れて、新たなオーナーの下でどのようにして日本市場でのプレゼンスを増していくのでしょうか? その戦略に注目していきましょう。
image by: BURGER KING JAPAN - Home | Facebook