賢い会社はもうやめている。不毛な「ビッグデータ分析」の現実

 

モノや情報が今ほど溢れていなかった2、30年前では、30代男性が購入する髭剃りの傾向は、ある程度明確に存在したし、20代女性が好む基礎化粧品などもあったはずです。

しかし、画期的な製品カテゴリーが新しく生まれず、商品も出尽くした感がある中、同時に、SNSをはじめとして、情報を世に送り込む「メディア種類が増えますます細分化しています。

それにより、消費者の趣味嗜好も同じように細分化されます。

こうなると、年齢や性別での購買傾向というよりも、趣味嗜好、好みといった、心理的な傾向や、困っていることを解決したいという、ニーズ中心の購買傾向が高くなってきているのです。

つまり、「40代の女性だからこの商品を買いそうだ」という傾向は必ずしもなく、「アンチエイジングに興味がある人たち」が、年齢や性別に関係なく買う傾向になってきているのです。

セリアの今回の決断はこの点を重視したと思われます。

年齢や性別といった数字は、本来の売れ筋商品を見極めるさいのデータとして、逆に「雑音」として社員が受け取ってしまう、ひいては、優先順位を間違えてしまうことにつながる、という理由があったとのことです。

記事にはさらに、ファミマやローソンも同様な措置を取ったとあります。背景には、自社のポイントカードで取れる、顧客情報で十分だ、ということがあるようです。

マーケティングの基本は、売り手側の企業目線ではなく、顧客の視点に立つこと。

そのためには、顧客の本音をいかに吸い取り、その期待を超える製品やサービスが開発できるかが、競争優位の源泉になります。

その出発点になるのが、顧客の行動を観察することで、気づきを得ること。

セリアはまさに、これを実践しているのです。

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