カフェイン依存症
では、話をカフェインに戻しましょう。確かに、カフェインには覚醒作用があります。眠気を抑える働きがあります。脳内のドーパミン作用を増強することがその機序としていわれています。
適量をコーヒーやお茶などとして飲んでいると脳の働きが冴え、実際に勉強や仕事がはかどることがあります。私も大学院受験の際には、病院の仕事で呼ばれることがない時間帯の朝5時に起きてコーヒーを飲みジャズを聴きながら勉強をしていたこともあります。また、コーヒーやお茶を摂ると長期的には健康を増進する作用があることがわかっています。
しかしながら、やはり過ぎたるは及ばざるがごとしです。コーヒーやお茶を飲みすぎて気分が興奮状態となり落ち着かなくなった経験を持つ人もいるのではないでしょうか。私自身も、つい飲み過ぎた日の夜は眠れなくなったこともあります。そのため午後からはコーヒーは飲まないようにしています。
また、カフェインには交感神経を刺激する作用があります。コーヒーを飲みすぎた時に心臓がドキドキする動悸や、血圧が高くなったりした経験を持つ人もいるのではないでしょうか。コーヒー一杯に含まれているカフェインの量は120ミリグラム程度です。一般にカフェインを1000ミリグラムグラム以上を一度に摂取すると中毒症状が出ます。コーヒーを9杯飲むと中毒になるのです。
もともと心臓の病気を持つ人がカフェインを少しでも摂りすぎると不整脈を起こして心臓が止まることがあります。また、もともと脳の病気を持つ人が少しでも取りすぎると痙攣を起こしてしまうこともあります。では、エナジードリンクにはどの程度のカフェインが含まれているのでしょうか。レッドブルという商品には80ミリグラムのカフェインが含まれています。モンスターエナジーという商品にはカフェインが142ミリグラム含まれています。
依存症の問題は、だんだん効果が薄れてくるために飲んでしまう量が徐々に増えていくことです。最初1杯から始まるエナジードリンクも、どんどんエスカレートしてたくさん飲むようになった人が副作用をきたすのです。健康のことを第一に考えるならば、コーヒーやお茶として、300ミリグラム以内程度の適量を摂ることをお勧めします。
文献
栗原久ら。日常生活の中におけるカフェイン摂取─作用機序と安全性評価─。東京福祉大学・大学院紀要,6(2),pp109-125,2016.3。
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