高騰するビットコイン…開発者に疑われた中島聡がその成り立ちを解説

 

しかし、それだけでは、サーバーを管理する人たちにとって何も良いことがないので、最初に「正しい追加の方法を発見したサーバーには、報酬として新たなデジタル通貨を与えることにした点が、Satoshi Nakamoto の「発明」であり、「ゲーム理論」の応用なのです。

この「報酬システム」の存在故に、報酬を欲しい人たちが競ってサーバーをシステムに追加し、それによって、システム全体の信頼性が高まり(サーバーの数が多いほど不正取引が難しくなる設計になっています)、二重使用が事実上不可能になっているのです。

ブロックチェーンでは、報酬目的で「電子元帳」への取引の追加のための計算の協力することをマイニング採掘)、そんなサーバーを運営する人たちをマイナー採掘者)と呼びますが、これはブロックチェーン特有の偶然に大きく左右される計算方法の特徴をよく表しています。貴重な鉱石を見つけるために土を掘っている姿に似ているからです。

ちなみに、Satoshi Nakamoto は、実名ではなくペンネームであるため、「その正体は誰か」というのが業界ではしばしば話題になります。私の名前(Satoshi Nakajima)がたまたま似ているため、「本当は君がブロックチェーンの発明者なんじゃないの?」と尋ねられることもしばしばですが、残念ながら違います。

このように、ブロックチェーンは技術としては本当に画期的で、(HTTP や HTML に並ぶ)ソフトウェア業界の最大の発明の一つと言って良いぐらいの素晴らしい技術です。しかし、それが今や投機対象となってバブルが生じ、数多くの金融詐欺の被害者を生み出していることはとても残念です。

このブロックチェーン・バブルの行き先がどこになるのかを予想するのはとても難しいのですが、どのバブルとも同じで、その中で(上手なタイミングで売り抜けて)莫大な利益を得る一部の人たちと、(トータルで)莫大な損害を被る大勢の人たちが生まれることだけは確実だと思います。

どうしても「ブロックチェーンで一儲けしたい」と言う人の気持ちも分かりますが、あくまでこれは(バブルに乗じた)ギャンブルだと割り切って、「なくなっても人生に影響のない額にとどめるべきだと思います。

image by: Shutterstock.com

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マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。

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