ゴミ出しをしなくなったら要注意。認知症老人を孤立させない方法

otaku20171129
 

高齢化が進む我が国において、避けて通れないのが認知症を巡る問題。特に一人暮らしの方が認知症となってしまった場合、事はより深刻になると捉えられていますが…、今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さんが紹介しているのは、そんなお年寄りを支えることで、とあるマンション内にコミュニティが生まれたという心温まるエピソードです。

認知症の方を支えることで生まれたコミュニティ

こんにちは! 廣田信子です。

長生き社会は認知症との共存社会、65歳以上の方の4人に1人は認知症かその予備軍ですから、認知症の問題は、誰にとっても「自分ごと」です。そのことは、だいぶ管理組合の皆さんにも浸透してきたように思います。実際、マンションの中にすでに50万人の認知症の方がいると言われます。でも、これは「大変だ」というマイナス面だけでなく、コミュニティへの恩恵でもある…、そう感じさせられた地域包括支援センターの方のお話がありました。

あるマンションに1人で暮らす60代の女性Aさんのことで、地域包括支援センターに遠方に住む妹さんから電話がありました。Aさんは夫と死別して、戸建てからマンションに移って一人暮らし。唯一の肉親である妹さんが電話をしても出ないので、マンションに行って安否を確認してもらえないか…と。

地域包括支援センターの方が、すぐマンションに行くのですが、Aさんはインターホンにも出てくれません。そこで、警察の力を借りて、「Aさん、交番の者です。お元気ですか?」と声掛けをしてもらったところ、ようやく玄関ドアが開きました。

自宅の中はゴミが散乱し、食べ物は腐り、生ごみにコバエがたかっていて、バルコニーにもゴミが溢れていました。どうやって生活していたんだろうという状態ですが、もともとオシャレな方で、身支度だけはきちんとされていたようです。

話はできる状態なのですが、明らかに認知症の症状が見られるので、専門家の診断を仰いだところ、若年性認知症と診断されました。65歳未満で発症したものを若年性認知症といい、進行が早いのが特徴です。

妹さんは、半年前ぐらいには会っていたようですが、はっきり認知症とは気づかなかったようで、急速に症状が進行したのだと思われます。人とうまく話せない自覚があるので、電話にもインターホンにも出なくなっていました。

ゴミ出しができないということに、まず信号が現われます。分別できなくなり、捨てる日が分からないため、ごみが捨てられず、家の中にたまって行くのです。認知症によるゴミ屋敷化は、地域包括支援センターの方によれば、よくあることで、何度も経験していると言います。

ゴミは、妹さんが来て、業者を使って処分し、今後のことを話し合いました。地域包括支援センターの方は、周りの人の話だけでなく、まず本人の気持ちを聞くところがさすがだと思いました。

Aさんは、以前の家は、犬の遠吠えが聞こえて、広い家に一人で暮らすのは怖かったけど、ここの暮らしは安心だ…と、マンションでの暮らしが気に入っているようでした。じゃあ、唯一の親族である妹さんはというと、何しろ、遠くにいるため、何かあっても駆けつけられないので早く施設に入ってもらいたいという意向でした。

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