森友問題の幕引きを狙う安倍政権、次は「会計検査院」の逆利用か

 

長妻昭議員の「総理は価格算定が適正と言ってきたが、会計検査院の報告を受けて、謝罪はしないのか」という問いに、こう答えた。

財務省や国土交通省が適正と報告してきたから、そう申し上げた。

他方で売却価格は会計検査院がきっちりと調査するとも、申し上げてきた。

すでに、情報を徹底的に隠蔽し安倍政権に奉仕した前財務省理財局長、佐川宣寿氏は国税庁長官に栄転させている。国会招致を要求されても、「その任にあらずと拒否してもらえばいい

「適正」と言い続けた張本人がいないなかで、質疑が進む。財務省が適正だと言っていたが、検査院は不適正だと指摘した。それで良いではないか。安倍首相はそう言いたいようだ。

自分の発言の責任を棚に上げて、検査院が調査すればわかると前から言っていただろうと、開き直る。これでは、首相の国会答弁などまともに受け取れないことになってしまう。

質問者に真摯に向き合わず、答弁の辻褄が合わなくとも平気。都合のいい材料だけは尾ひれをつけてしゃべる。これが安倍官邸の国会戦法だ。どんな支離滅裂な発言が飛び出しても不思議ではない。

私は売却価格が適正だと言ったことはない。

適切な価格で売買していると信頼している、と申し上げた。部下を信頼するのは当然だ。

この安倍首相の論法が通じるとは思えないが、さして紛糾することなく、時間に追われるように質問者が交代してゆく。術中にはまり、攻めあぐねているうちに会期は終わってしまうではないか。そんな不安が胸に広がる。よほど野党は気を引き締めなければならない。安倍首相の取り巻きは、したたかだ。

なぜ財務省は、森友学園の小学校新設のために8億円をこえる値引をきし、タダ同然で国有地を売却したのか。いまさら言うまでもなく、安倍総理夫人がその小学校の名誉校長だったことと深く関係している。誰もが知っていることだ。

佐川氏らが「法令に基づき適正に処理した」と判で押したような国会答弁を繰り返して真相をひた隠しにしてきたのも、理由は総理案件であるからに違いない。

その安倍首相は今年2月24日の衆議院予算委員会で、野党議員の「徹底調査をして、国民の疑惑を晴らすべきではないか」という質問に、こう答えていた。

会計検査院がしっかりとその役割を果たしてくと認識をしております。

安倍首相が指示し財務省が正直に言えばすむ話にもかかわらず、その場しのぎに会計検査院の名前を出したのであろう。

内閣や国会から独立しているとはいえ、会計検査院はあくまで政府機関の会計監査をして報告書をつくるのが仕事である。

検査院の調査が入るのを怖がる役人は多いが、一方で検査対象によっては生ぬるさが目立ち、批判を浴びることもあった。検査院の官僚が検査対象の独立行政法人や公益法人などに天下ってきた問題も指摘された。

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