タクシーを見てみましょう。
現在、京都の「闇観光」でもっとも稼いでいると言われるインバウンド専用の「闇タクシー」(いわゆる白タク)は、オンライン上で決済を行うか、母国ですでに支払いを終えており、日本国内で現金の取引がないため、実態が掴めないのが現状です。
年間で最も稼げる紅葉シーズンの今週、京都のタクシー利用客は激減しています。
その理由は明らかで、「闇タクシー」が増大しているからに他なりません。
京都は、地元タクシー業者が強く、Uberなどのシェアライドが一切ありません。
そこで、海外からの観光客専用の「闇タクシー」が、条例や法律とは関係なく急増しているのです。
日本と違い、京都に来る観光客の大半である東アジア諸国は、急速に現金使用率が少なくなっており、お金の電子化が進んでいます。
かつて、「京都に遊びに行くのに、財布はいらない」と言われ、馴染みのお茶屋が宿泊代金から移動費、食事代にお小遣いまで、すべてを立て替えていたのが、京都の流儀でした。
そのサービスが、諸国の電子決済の普及とともに「サービス移転」しているかのように見受けられます。
もうじきすれば、海外からのゲストこそ、「京都に遊びに行くのに、財布はいらない」と考えるようになってしまうのかもしれません。
政府は、東京オリンピックが開催される2020年に4000万人の訪日客誘致をめざしていますが、法律や条例の整備が遅れているだけでなく、いまの日本が世界の事情に合わないことも多いため、その差を埋めるように「あたらしい闇」が勃興し、観光地はますます混乱を極めることが予測されます。
2020年に観光パニックに陥るのは、1000万人都市東京ではなく、140万人都市京都なのです。
世界有数の観光都市・京都で、いま起きていることは、今後、日本全国で起きるでしょう。
時代は、「反観光」に大きく舵を切るかもしれません。
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