3. 完全自動運転までにはまだ長い道のりがある
オートパイロットはとても便利ですが、山道で大型トラックの横をすり抜けたりする際には、信用できずにハンドルを(オートパイロットから)奪ってしまうシーンがしばしばありました。車線がコンクリート製の中央分離帯ギリギリに描いてある場合も、私の感覚では中央分離帯に近づきすぎており、同じくハンドルを奪ってしまいました。
人が運転する際には、必ずしも車線の真ん中を走らず、大型トラックが右にある時は車線の左寄りに、コンクリート製の中央分離帯が車線に近い場合には少し離れて運転するのが普通ですが、オートパイロットは実直に車線の真ん中を走るために、こんなことになるのだと思います。
途中、雨が激しく降り出して視界が悪くなった際にも、どうしてもオートパイロットを信頼できず、自分でハンドルを握って運転してしまいました。視界が悪いからこそ、オートパイロットに頼りたいのですが、どうしても出来ませんでした。
この経験から考えても、人が自動運転を完全に信頼し、運転席に誰も座っていない車に安心して乗れるようになるには、まだしばらくかかると感じました。
単に「人間よりも安全」では不十分で、「人間よりもはるかに安全」なレベルに至らないと、「安心」して乗ることは出来ないということを身を持って体験したのです。その意味では、そこまで到るまでは法律でも認可すべきではない、と思います。多くの会社が、2020~2021年には完全自動運転を実現と宣言していますが(テスラは2018年)、「安心して運転をまかせる」ことが出来るまでになるのは、まだまだ先(5年~10年)だというのが、(もっとも進んでいると言われるテスラの自動運転で長距離ドライブをした)私の感想です。
4. テスラのSupercharger Networkが大きな差別化要因になること
これには気がついていない人が多いと思うのですが、テスラのSupercherger Networkは本当に素晴らしく、「電気自動車を買うならテスラ」と言える一番の理由になっています。ワシントン州はカリフォルニア州と比べてSuperchargerの数が少なく、そのため「どのSuperchargerで充電するのか」を選ぶ余裕はありませんでしたが、十分な数があり、Model Xとしては比較的電池容量の少ない75Dでも問題なく長距離ドライブが出来ました。
シアトルに住む私の知り合いの中で、日産リーフに乗っている人が二人いますが、どちらも長距離ドライブに使おうとは想像もしていないと思います。電池の容量が小さいのも理由の一つですが、テスラと違って、日産の充電設備はディーラーにしかなく、その結果、人口が少なくて日産のディーラーがないような地域を長距離走ることは、事実上不可能なのです(ショッピングセンターなどに設置された充電設備は使えることは使えますが、充電のスピードが遅くて話になりません)。
今後、フォルクスワーゲンやポルシェなどのドイツ勢が電気自動車に力を入れると言っていますが、テスラのSupercharger Networkに匹敵するのもを作るのは大変だし、そこが(少なくとも米国では)課題になるように思います。