最初にお伝えしておきたいことは、いじめの解決を学校に要望するときに、証拠があると学校の対応も早くなるということです。そこで、私たちは、証拠や証人になる子を確保して、学校との交渉に臨むことをおすすめしています。
本来は、証拠の保全は学校の責任ですし、関係する子たちへの聞き取りも学校の責務です。しかし、隠蔽する教員がいることも事実ですので、保護者としては、このような事態に陥いらないように「いじめの証拠や証人」を集めておくことが子供を守る力となります。
証拠を破棄されないためには、学校には「現物」を渡さないことです。唯一の証拠を渡さないことです。証拠となりうる物は、全て写真に撮っておきましょう。身体のケガや傷、破かれたノートや上履き、机の中に入れられた手紙、連絡帳、手当たり次第といっても良いくらいに写真に取ります。そして、学校が提出を求めてきた場合は、コピーや写真を提出しましょう。その際には、渡した日時、教員の氏名をしっかりと記録しておくことを忘れないようしてください。
また、先に学校に差し押さえられた場合には、「見せてください」、あるいは「その体操着はうちの子の所有物ですから、勝手に盗るのは犯罪になりますよ。返してください」等と交渉して返還を要求しましょう。
「録音」も重要な証拠になります。「私が見ていないのでいじめとは言えません」と堂々と述べる教師もいます。その場合には、お子さんにICレコーダーを持たせて、学校での1日を録音してしまうことも有効です。そうすれば、数日で証拠が集まります。また、全部を聞く必要はありません。いじめが起きた前後だけを再生すれば良いのでそれほどの時間は必要ありません。
さらに、担任や校長先生との会話を録音することも大切です。「そんなことは言ったつもりはありません」と前言を翻すことが平気な先生も多いからなのです。近頃は、スマホのアプリを使えば簡単に録音ができますし。
そして、忘れてならないのが、いじめの経緯を記した「いじめ被害経緯書」と学校に対しての要望を「要望書」という「文書」にして学校と交渉することです。文書にすることが、とても効果を発揮します。
ちなみに、要望書には、
- いじめの加害者から謝罪
- いじめ加害者の保護者に事実を伝えること
- 加害者から二度としないという確約を取る
- 再発防止策をまとめる
その他、必要に応じて、席替え、場合によっては担任を替えることなどの要望を記入することをおすすめしています。その際には期限も明記しておきます。ホームページには、文書の例も掲載しておりますので、参考にしてみていただきたいと思います。
今年もまもなく終わります。入学試験を前にして大切な時期、子供たちを温かく見守ってあげていただきたいと思います。子供たちの様子で気にかかることがございましたらご遠慮無く、ご相談いただけましたら幸いです。
一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明