朝鮮半島緊張緩和の糸口が見えない中、12月4日に開始された米韓軍事演習。各メディアは北朝鮮がこれに強く反発していると報じていますが、専門家はどう見ているのでしょうか。元陸上自衛隊陸将補の作家・池田整治さんは無料メルマガ『心のビタミン』で、北は今回の演習を「挑発」とみなしているとしつつ、北朝鮮問題の裏で蠢く軍産複合体や世界の大企業体の存在を指摘しています。
どっちもどっち北朝鮮vs米国
相変わらず、日本のテレビ界は「日馬富士暴行事件」報道で賑わっている。大勢に全く影響のない個人的傷害事件に公共電波の大半を割き、日本人に真に大事な事象を報せないいつものパターンだ。
今月4日~8日、北朝鮮が「軍事的挑戦」と反発している史上最大規模の「米韓共同訓練」が行われた。米韓空軍航空機230機が参加するまさに最大規模の訓練だ。
北朝鮮と韓国そして国連軍名目の米国は、未だ「休戦」、つまり戦争状態だ。そういう戦争状態の中で、眼前でこれだけの戦闘機等の大演習は、動くために大量の兵站準備と時間のかかる陸上兵力とは違い、まさに、北朝鮮にとっては「挑発」そのものに映るだろう。ここでモノの見方「3方向」のおさらいをしよう。
- 敵の見方
- 我の見方
- 鳥瞰図的思考
まず、敵つまり北朝鮮の見方は、上記の演習は「挑発」と見るだろう。かつての「朝鮮戦争」の時は、共産・ソ連の「兵站」支援の下北朝鮮は韓国に攻め込み、釜山まで「解放」した。しかし、日本列島を「兵站基地」とする圧倒的な物量戦に敗れ、米軍(建前は国連軍)に一気に中国との国境線まで押し返された。
このままだったら、大韓国で統一される…と思われたその時今度は共産・中国が北朝鮮を「兵站」支援し、米軍を38度線まで押し返して、今の休戦ライン=暫定国境線ができて、今に至っている。つまり、貧乏国家北朝鮮には、ロシアか中国の「兵站支援」がない限り戦争はできない。
逆に米軍は、日本という安全で盤石な兵站基地がある限り太平洋から中東地域まで戦争ができる。湾岸戦争も、日本からの10万トンに及ぶ兵站支援があったから勝つことができたのだ。因みに、私の貨物船船長の叔父は、サウジアラビアまで物資を運んだ。
今や、米国とも経済でつながっている中国が、北朝鮮の兵站基地にはならない。ましてや、共産主義をやめたロシアが今更兵站支援するわけがない。兵站支援をすることは、戦争参加と同意義である。つまり、兵站支援のない北朝鮮・金正恩委員長にとって、眼前の米韓演習は「恐怖」と「挑発」の何ものでもないだろう。かつてルーズベルト大統領の奸計で大東亜戦争に引きづりこまれた日本海軍の苦悩を見るようである。
当時は、石油を断たれ、米国太平洋艦隊の対日大演習を目前に見せつけられ、「ハルノート」では、中国大陸の開拓団を守る警察等の引き上げまで要求された。開拓団は、混とんとした中国の馬賊等に襲われ、守る人がいなくなれば悲惨な状況になる。実際に、のちの南京事件のような、日本人ではできない凌辱も起こった。米国の支援した中国軍が行ったことが、今ではわかっている。さらに石油は、半年分の備蓄しかなく、ずるずる交渉していたら半年後はゼロ戦も空母も動けない鉄くずとなる。
戦っても負ける…
戦わざるしても負ける…
しかし、戦わざるしての負けは、永久の植民地・亡国となる…
戦って軍が最後全滅しても、ヤマトの心は遺りこの国はきっと甦る…
開戦時の軍令部長の遺した言葉である。
要は、金委員長の「暴発」を待っているのか…そうも思えてならない。