職場のトイレが汚い。訴えられた会社に損害賠償責任はあるのか?

 

E子 「はい、一つめ、作業環境の管理では、不快と感じることがないよう、空気の汚れ、臭気、温度等の作業環境を適切に維持管理すること。二つめ、作業方法の改善は、心身の負担を軽減するため、相当の筋力を必要とする作業等について、作業方法を改善すること」

深田GL「ふんふん」

E子 「三つめは、疲労回復支援施設ですね。疲労やストレスを効果的に癒すことのできる休憩室等を設置・整備すること」

深田GL「小さな会社で、休憩室の設置までは難しいなぁ」

大塚 「従業員さん全員が、座る場所もないくらい狭い職場のお客様もありますものね」

E子 「そうね。四つ目は、職場生活支援施設、洗面所、トイレ等職場生活で必要となる施設等を清潔で使いやすい状態にしておくことです」

新米 「そっかー、それも大切ですよね」

大塚 「続いて、快適な職場環境づくりを進めるに当たって考慮すべき事項も書かれています」

新米 「どんなことですか?」

大塚 「一つ目、継続的かつ計画的な取り組み、二つめ、労働者の意見の反映、三つめ、個人差への配慮四つ目は潤いへの配慮の4点となっていますね」

所長 「ん、ありがとう。さて、裁判例を通じた安全配慮義務の内容として指摘されている主なもの、大項目に戻ろうか」

深田GL「二つ目は、衛生教育実施義務。安衛法59条では、労働者を雇入れたときや作業内容を変更したときは安全衛生教育をしなければいけないんだよ」

大塚 「安全教育の内容は、

  1. 機械・原材料等の危険・有害な物の取扱方法
  2. 安全措置・有害物質抑制装置・保護具の性能や取扱方法
  3. 作業手順
  4. 作業開始時の点検
  5. 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因・予防
  6. 整理・整頓・清潔保持に関すること
  7. 事故時の応急措置・退避に関すること
  8. その他当該業務に関する安全・衛生に必要な事項

です(労働安全衛生規則35条1項)」

E子 「三つめの適正労働条件措置義務っていうのは、わかりやすいわね。過労死なんて言葉もあるくらいで、労働者が過重な労働が原因となって健康を破壊することがないように、労働時間、休憩時間、休日、労働密度、休憩場所、人員配置など、労働環境等適切な労働条件を確保することが重要ですね」

大塚 「健康管理義務は、健康診断の実施など、労働者の健康状態を把握・管理する義務ですよね。必要に応じメンタルヘルス対策を講じたり、労働者の精神的健康状態を把握したりして、精神障害も早期に発見していくということになりますね」

深田GL「最後の適正労働配置義務は、労働者の個別的な事情に応じ、労働量を軽減したり、就労場所を変更したりするなどの適正な措置を行う義務だ。精神障害に罹患しているか、その可能性があるなら、勤務軽減、作業の転換、就業場所の変更等労働者の健康保持のための適切な措置を講じ、労働者の精神障害等に悪影響を及ぼす可能性のある労働はさせないっていう義務も発生するね」

新米 「こういう風に分解すると安全配慮義務で気をつけないといけないことがわかってきますね」

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