神か、皇帝か。プーチン大統領の出馬宣言にロシア国民が歓喜の訳

kitano20171208
 

12月6日、自動車工場の集会に参加したプーチン大統領は、大統領選への立候補を表明しました。今回も当選となれば、2024年まで大統領職を務めることになります。ロシア国民はこの報道をどのように受け止めているのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、これまでの流れを振り返りながら、ロシア国民がプーチン大統領に対して抱いている感情ついて詳しく記しています。

神プーチン、大統領選に立候補を表明。現地の反応は??

6日、「プーチンが大統領選への立候補を表明した!」というニュースがありました。今回は、その話。

プーチンは、2000年に大統領になりました。当時、ロシアは「新興財閥軍団」に牛耳られていた。プーチンも、新興財閥のドン・ベレゾフスキーに選ばれて大統領になったのです。しかし彼は、就任早々、軍団を裏切ります。そして、新興財閥の3人の大物、すなわち

  • ベレゾフスキー
  • グシンスキー(ロシアのメディア王)
  • ホドルコフスキー(ロシアの石油王)

短期間で退治します。ベレゾフスキーは、ロンドンに逃亡。グシンスキーは、イスラエルに逃亡。ホドルコフスキーは、捕まってシベリア送り。

経済面でも追い風が吹いていました。1998年、バレル10ドルだった原油価格は、プーチンが大統領になるのを待っていたかのように上昇。なんと10年後には140ドルまで上がります。これで、プーチンの1、2期目(2000~08年)、ロシアは年平均7%の成長をはたした。ロシア国民は、プーチンのことを「」とあがめるようになったのです。

08年、「大統領は、2期連続までしかできない」という規定にしたがい、プーチンは引退。なんの基盤もないメドベージェフが大統領になりました。プーチンは、立場的にはナンバー2の首相になります。メドが大統領だったとき、「ロシアーグルジア戦争」がありました(08年8月)。しかし、その後、米ロ関係は「再起動時代」に入り、とても良好になった。

2012年、プーチンが再び大統領になりました。任期は、6年に延ばされています。プーチンは、早速戦いを再開しました。まず、シリア問題でアメリカと対立した。ついで、2014年3月、クリミアを併合。以後、経済制裁、原油価格暴落、ルーブル暴落で、ロシア経済は厳しい状況が続いています。しかし、プーチンの支持率は下がらないのですね。クリミア併合後、一貫して8割台を維持しています。なぜ?

経済的に苦しいのは、そのとおりです。しかし、ロシア国民は「プーチンのせいで景気が悪い」という発想にならない。「制裁を主導している悪いアメリカのせいで、俺たちは苦しいのだ!」と、国民は信じているのです。

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