中国の「一帯一路」、不信感広がり巨大事業が相次いでキャンセル

 

「一帯一路」とAIIBは習近平のチャイナドリームとしての世界戦略ですが、すべてが西向きであり、アジアからヨーロッパ、アフリカも視野に入っています。もちろん西向きにならざるを得ないのは、東側の太平洋をアメリカと二分したくても、アメリカがそれを許さないからです。

第一列島線を突破するにしても、宿敵の日本と台湾を潰さないかぎり、太平洋には出られません。西向きにしても、宿敵ベトナムやインド、ロシアがほぼ同調してくれないので、習近平の外交は失敗ばかりです。

「一帯一路」がすでに史前から始まっていたことは、考古学的に東西交流史として実証されています。しかし海のシルクロードでも陸のシルクロードでも、その覇権争いを行ってきたのは中国人ではありませんでした。

海のシルクロードでは、古代にはマレー・ポリネシア系の人々、中世からはイスラム商人がその主役でした。陸のシルクロードではたいてい騎馬民族の商隊、ことにペルシア系のソグド人が有名でした。

現在の「一帯一路」構想は、上海機構から発展したものですが、本来であれば中国政府としてはもっと他国を味方に引き入れた「他力本願」でいく予定でした。しかし中国の軍事目的が明らかになるにつれて、インドのみならずEUも警戒しはじめました。

中国の経済と軍事は1990年代に入ってから突出するようになり、やがてパックス・シニカという幻想も生まれました。しかし、経済があっての軍事です。持続的な経済成長には、無限の資源や環境問題のクリアが必要分可決です。中国の高度成長は2007年をピークに、その後、鈍化・下降を続けています

いくらチャイナマネーをちらつかせても、たいてい大風呂敷を広げるだけに終わることが多く、日米が協力しないかぎり、中国のインフラ計劃はたいてい頓挫しています。

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