日本企業はどの分野で負けはじめ、どの分野でまだ勝っているか?

 

日本の現状

日本企業の業績は、最高益を叩き出す企業が増えて絶好調である。日本国内の消費はほとんど増えていないので、この売り上げの伸びは、全て外需である。

日本企業はテレビなどのAV系で負け、半導体やIT分野でも負け始めているが、素材系・化学系・重機・輸送機器などの分野では優位にある。川重や日立の鉄道車両、コマツの土木建築系機械、安川のロボット、日本電産の小型モーター、日本精工のベアリング、東レの機能性素材など、日本のものづくりは他を圧倒しているから世界経済が成長すると、日本企業の受注も増えるのである。

鉄道車両で負けたのがGEであり、鉄道車両では中国の低価格車両と日本の高品質な車両の二者が勝利している。このため、欧米メーカーは、生き残りをかけて合併している。

というように、欧米企業はこの分野で負け始めている

米国企業はIT化などで差別化を図るが、H1Bビザ発給制限で中国・インド企業に負ける可能性も出ている。

日本もIT化に必要なSTEM人材が少なく中国やインド企業と組む必要があるようだ。日本16万人、米国60万人、中国460万人、インド260万人が、1年間のSTEM系大学の卒業生である。プログラム作りには論理思考ができるSTEM系人材が必要である。

もう1つ、バーゼル3完全合意により、2019年から完全適用になり、年金基金などが買える国債は国債の格付けがAランクまでとなり、日本国債の格付けA+から下がると海外の年金機構が買えなくなるので、格付けを維持する必要になっている。

すでにノルウェーの年金運用機関が日本国債を売却しているし、三菱UFJ銀行も国債の買取をしないと宣言した。現時点でも国債は安全資産ではなく、2019年にはリスクウィイト20%になる。

財政均衡化を行わないと、国債の格付けは下がるので、国債の金利上昇が起きる可能性もあるが、日銀が市場介入して金利を0%に維持しているので、格付けが下がっても金利は上昇しないが、円安になる可能性は高い。2019年には円高を心配する必要はなく、円安を心配することになる

このように日本経済は好調なのに、財政均衡化を図らないと国債の格付けが低下するという危機になる。このため、増税をしないといけない状況にある。増税すると国内消費は下がることになるので、日本経済も好調な部分と増税という経済的に心配な部分が出て来る。

ということは、日本経済も不安定化する可能性が高いことになる。特に、2019年からバーゼル3の完全適用で増税ラッシュになると景気を押し下げる可能性が高いし、その時に世界景気が下がるとダブルパンチになる可能性もある。

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