「高齢者の起業の成功率は70%」シニア起業家の言葉に秘められた可能性

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海外のメディアで報じられたニュースを中心に解説する、無料メルマガ『山久瀬洋二 えいごism』。著者である山久瀬さんはメルマガの中で、66歳になって事業をおこし成功したポール・トラズナー氏の言葉を紹介しながら、いかにして、高齢者が日本社会の中で活躍できるかについて詳しく解説しています。

 

今週のテーマ 「高齢者という言葉を捨てたとき、日本の社会が変化する」

The Census Bureau says that by 2050, there will be 84 million seniors in this country. ‐ So when I say, “Let’s start talking more about these wonderful entrepreneurs.” I mean, let’s talk about their ventures, just as we do the ventures of their much younger counter parts. The older entrepreneurs in this country have 70 percent success rate starting new ventures. And that number plummets to 28 percent for younger entrepreneurs.

 

訳:国勢調査によれば、2050年までにアメリカ人の高齢者は8400万人に達するといわれています。そこで申し上げたいのです。何か素晴らしい起業について語り合おうじゃないかと。若い世代のベンチャー企業を取り上げるのと同じように。この国の高齢者のベンチャーの成功率は70%といわれています。若い起業家の成功率は実は28パーセントなのですが。 (Ted Talk より) 

 

【ニュース解説】

これは、66歳になって事業をおこし成功したポール・トラズナー氏が自らの経験を元に、高齢者の起業について語ったスピーチからの抜粋です。

 

日本社会が高齢化にいかに取り組むかというテーマが語られて、すでに20年以上が経過しています。それにもかかわらず、高齢化社会を若年層がどのように支えていくのかという問いに有効的な回答はでていません。しかも、高齢化社会の人口の逆ピラミッド現象への対処としては、医療と福祉の視点からしか議論されていません。それどころか、福祉の面からみた場合も、看護士や高齢者施設の介護士などをいかに充実させてゆくかという課題に対して、難問山積です。

 

例えば、外国人労働者に対するハードルの高い就労条件など、様々な障害が立ちはだかって、日本社会の構造疲労に翻弄されたままになっています。こうした問題を根本的に解決するとき、我々は高齢者とはそもそも何なのかということを多面的に考える必要がありそうです。

 

今回紹介するアメリカの起業家のケースは、その問題に前向きな光をあてるヒントとなりそうです。

 

労働力に必要なことは、働く意欲(あるいは意思)と健全な頭脳、そして体力の3つの要素があるでしょう。日本の場合、多くの人が、健全な頭脳と体力を持ちながら、意欲と意識の部分で「高齢者」となっている人が多いのではないでしょうか。

そもそも、日本は女性の労働力を無駄にしているといわれてきました。これは、育児制度の問題などを解決することによって、早急の改善が求められる課題です。

そして、女性が男性と平等に働ける環境もしっかりと作り上げ、維持しなければなりません。

しかし、それに加えて、実は日本では高齢者の労働力も無駄にしようとしているのです。「老後」などという言葉があり、定年や退職という人生にとっての重要な変化の後、多くの人が年金生活や老後の余暇のことばかりを考えます。

また、貧富の差が拡大するなか、この範疇に入らない人には過酷な老後の労働が待ち受けています。こうしたことが、60代以上の人々の意欲と意思を毀損しているのです。

一方で老後もオフィスに通い続ける人に対して、老害という言葉があります。これは使い方によっては高齢者への差別用語です。

ただ、この表現が組織の中で、いつまでも地位や影響力にしがみついている人のことを皮肉った言葉であることも事実です。

もっとも、そうした老害が発生するのは一部の、かつ経済的にも恵まれた人の間での問題でしょう。

 

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