山口氏については当メルマガ2016年7月14日号「参院選めがけて出版された『総理』という本の中身」でも、取り上げた。参院選直前に出版されたその本は、総理大臣室の大きな机を背にワイシャツ姿でかっこよくポーズを決めて電話をかける安倍晋三氏の姿が表紙になっている。そのなかの一節。
特定秘密保護法、原発再稼働、集団的自衛権の行使容認といった安倍の打ち出す個別方針は、ほとんどの世論調査で、反対を表明する国民が賛成の人より多い。にもかかわらず、内閣支持率は4割から5割前後で高止まりしているのである。…不人気法案にも果敢に取り組む姿勢に、有権者は宰相としての安倍の「本気度」を見ているのではないか。
この記述を読むだけでも、「政治家に肉薄」を自慢するジャーナリスト山口氏の、広報宣伝マン的性格がよくわかる。安倍応援団の一人である幻冬舎の見城徹氏と山口氏が企図して参院選前にこの本を出版したとみる向きが多かったのは当然だろう。
就職の世話を装った性的暴行事件が疑われる人物を“アベ友”ゆえとしか思えない特別扱いで放免した捜査当局の姿勢はどうみてもアンフェアだ。メディアはもっと報道してしかるべきである。
安倍官邸は、よく知られているように、経産省とともに警察官僚が力を持っている。 事務方の官房副長官が元警察庁警備局長、杉田和博氏であり、中村格氏らと連携して、秘密保護法や共謀罪などの政策決定に関与してきたと推測される。
元警察庁警備局外事情報部長で、現在、内閣情報調査室を統括する内閣情報官、北村滋氏も安倍シンパの警察官僚といえる。山口氏が伊藤さんの問題で北村氏に相談を持ちかけていた形跡があることも明らかになっている。
警察庁、法務省、官邸、そして検察審の事務をあずかる最高裁事務総局はこうした疑惑を晴らすために、積極的に情報開示すべきだ。メディアも、及び腰にならず、果敢に権力の闇に切り込まねばならない。
image by: 山口敬之氏公式Twitter