山口氏もまた著書『総理』で明らかになったように麻生氏とは安倍首相に劣らぬ親密な間柄だ。TBS時代の彼が第一次安倍内閣の総理退陣を速報できたのは麻生氏という情報源のおかげであることもこの本に描かれている。
そんな二人が、どういういきさつか、知り合って、手を組んだ。
山口氏はレイプ事件に関し月刊Hanada1月号で再び、自己正当化の論を展開した。そのための槍玉に挙がったのが、なんとTBSのかつての同僚、金平茂紀キャスターや、東京新聞の望月衣塑子記者といった自分に批判的なジャーナリストたちだ。
「金平茂紀と望月衣塑子の正体」と題し、自分に取材もせず批判する二人は記者の資格無しと断じている。筆者の認識では、レイプ事件発覚後、雲隠れしたのは山口氏であり、取材しようにもできなかったのが実態だったはずである。
それにしても、時代の寵児を、一転して詐欺の容疑者にしてしまった東京地検特捜部の判断をどうみるべきなのか。山口氏が関係し、政権中枢の影がちらつくなか、特捜部はどこまで踏み込もうとしているのか。
山口氏がかりに東京地検特捜部に事情聴取される場合、キャピトルホテル東急の賃貸レジデンスについてどう説明するだろうか。もし彼が齊藤氏の会社の顧問か何かの肩書を与えられているとしても、あまりにも高額な賃料からいって雑所得と判断されるであろうし、申告していなければ所得隠しにあたる。
特捜部が本気で取り組むつもりなら、助成金詐取事件は捜査のほんの入り口として、背後に巨悪の構図を見据えているかもしれない。山口氏に超高級な住まいを提供してまで、齊藤氏が得ようとしたのはいったい何なのか。真相解明の糸口はそのあたりにあるようだ。
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