【書評】「国際化」の取り違え。欧米の模倣ばかりの悲惨な日本人

chichi20180105
 

2001年の発売以来、現在も版を重ね続けている東洋思想家・境野勝悟さんのロングセラー『日本のこころの教育』。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、「自分の国を知ることの大切さ」を説く本書の内容が紹介されています。

自分の国のことを知る

chichi20180105-s日本のこころの教育
(境野勝悟・著 致知出版社)

ヨーロッパの人、アメリカの人はみんな言うんです。日本人にゲーテの話はしてもらいたくない。日本人にシェイクスピアの話はしてもらいたくないと。日本人には『源氏物語』を教えてもらいたい。日本人には『徒然草』を教えてもらいたい。日本人には芭蕉の『奥の細道』を教えてもらいたいって、みんなそう言っているんです。

ところが日本の文化人のほとんどは、外国の文化や文芸ばかり勉強して、日本の文化や文芸の良さをあまり学ぼうとしないのです。一、二の文化人は別にして、とにかく外国の模倣ばかりしていることが多いですね。

いくら国際化といっても、向こうから学ぶことばっかりであったら、いい友情は結べません。向こうをまねたり、向こうからもらうものがあったら、10もらったら10、日本にもこういういいところがあるんだよと、日本の文化・伝統の良さを、こっちからも10返すようにしないといけない。そうすれば、対等な関係で、胸を張って、国際社会で生活することができると思うんです。

日本の文化や伝統についてあまりにも無知な人は、外国の人から教養人としては認められませんよ。かつて来日したブルー・タウトさんが、こんなことを言っています。「日本人は礼儀正しく勤労意欲が盛んで勉強もよくする。しかし、あまりにも自分の国について知らなすぎる」と。

わたくしの塾では、中学生は勉強の前の30分間、坐禅を組みました。ある塾生が、ボーイスカウトをやっていて、その関係でアメリカのサンフランシスコへ行きました。そして、そのホームステイ先で、朝30分、自分で坐禅を組んだんです。すると、その家の人が「私たちも坐禅をやりたいと思っていた。でも、いままで教えてくれる人がいなかった。ぜひ教えてくれ」と言って、そのホームステイ先のお父さん、お母さん、子どもまでみんな一緒に朝、その期間中、坐禅を組んだというんですね。

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