「アルコールは発がん物質」は本当だった―米国臨床腫瘍学会が発表

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かねてからアルコールとがんの関係性については、さまざまな研究結果や論文等が発表されていましたが、このほど「米国臨床腫瘍学会」という医学界でも権威ある学会が「アルコールは発がん物質である」として飲酒の見直しを提言、大きな話題となっています。がん予防のためには完全に禁酒するしかないのでしょうか。メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』で自身もお酒を嗜まれる現役医師の徳田先生が詳しく解説しています。

アルコールは発がん物質

2017年11月、米国臨床腫瘍学会が、アルコールは発がん物質であると述べて飲酒を見直すよう提言しました。

● Alcohol and Cancer: A Statement of the American Society of Clinical Oncology. Journal of Clinical Oncology. 2017. 

アルコールに発がん作用があることは、30年ほど前から、発がん物質についての研究を行っている権威ある国際機関が報告しています。その国際機関は、アルコールを「人間に対する確実な発がん物質」と認定しています。

しかしながら、この事実は、多くの医学会からほとんど無視されていました。そのために、一般の人々のなかで、その事実が知るひとは少なかったのです。そのような背景があったので、米国臨床腫瘍学会の提言は画期的なものでした。欧米の多くのメディアはこのことを取り上げましたが、日本のメディアで取り上げるところはあまりありませんでした。

アルコールが原因の一つであることが医学的に判明しているがんは多数あります。口腔がん、咽頭がん、食道がん、大腸がん、肝がん、そして乳がんです。さらには、長期大量飲酒者がタバコを吸うと、発がんのリスクはかなり高まります。相乗効果となるのです。

アルコールと食道がん

アルコールによる発がんでは、特に体内でアルコールが直接接触する臓器で発がんのリスクが高まることがわかっております。例えば、推奨量上限の3倍もの飲酒を続けていると、食道がんを発症するリスクが8倍になります。アルコール度数の高いお酒を飲むひとでリスクが高くなります。

沖縄県ではもともと食道がんが多いことが知られています。度数の高い泡盛がよく飲まれていたことも関係していると示唆されます。食道がんの5年生存率は10パーセント未満ですので、その予防が大切になります。

すなわち節酒です。水を混ぜて、アルコール濃度を下げるのも良いでしょう。最近では、アルコール度数の低いマイルド泡盛が酒屋さんに並んでいますので、泡盛愛好家のひとは出来るだけそのようなブランドに切り替えてもよいでしょう。ちなみに、お酒の席での私は出来るだけ濃度の低いビールを選ぶようにしています。付き合いで泡盛を飲むときには、マイルド泡盛を選び、氷水で泡盛と水が3対7となるように薄めて飲むようにしています。

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