日本だけが蚊帳の外。北朝鮮問題の対話路線に乗り遅れた安倍官邸

 

「米日韓同盟」で圧力という虚構

本誌が繰り返し明らかにしてきたように、確かに安倍晋三首相とトランプ大統領は「圧力を強化し続ける」ことで一致してはいるものの、その先、安倍首相が対話の可能性を明確に否定しているのに対し、トランプはそれを一度も否定したことはない

対話という落とし所を用意せずに圧力だけ高めるということは、つまり「戦争をも辞さない」という覚悟であることを北と世界に向かって宣言しているのと同じ。ところが滑稽なことに、日本は単独で北と戦争する能力を持たないので、実際に戦争となれば米国にやって頂くしかなく、日本はその背中に隠れて首だけ伸ばして、「ウチのお兄ちゃんは強いんだからな。お前なんか、すぐにやっつけちゃうんだから」と声だけを張り上げているといった風情である。

日本政府と読売・日経など親安倍系マスコミが国民に植え付けたがっているのは、米国もまた安倍首相と同じで、対話を拒んでいざとなれば戦争も辞さずという構えで突き進んでくれているという印象である。だから例えば6日付読売の紙面や社説を見ると、

国際社会は北にだまされ続けてきた。……五輪を成功させたい韓国側の事情につけ込み、揺さぶりをかける狙いがあり……文在寅政権が譲歩し、圧力路線から離脱する可能性を(日本政府は)懸念している。

トランプ政権も、南北会談に一定の理解を示しつつも、韓国が北に過度の融和姿勢を示し、北朝鮮への圧力が緩まないよう警戒している。

韓国は日米との連携を乱さずに圧力を維持すべきだ。……韓国を取り込み、米韓を離間させることで、国際包囲網を弱める狙い(があるので)……最大限の圧力をかけて核・ミサイル開発放棄に向けた協議に引き出そうとしている米国の戦略に資する形で南北対話を進めることが肝要だ……。

5日付日経の峯岸博という記者のソウル発記事も同様で、金正恩が五輪参加を使って「揺さぶり」に出ると、文政権はたちまち「飛びついた」。そんなことでは「時間稼ぎ」に利用されかねないと危ぶむ声も韓国内にある。文政権が「人道支援や経済制裁解除、南北交流事業再開などに次々と動き出すとの不安を日米は募らせる」と、まるで対話が悪いことであって日米は揃ってそれに反対しているかの論調に満ち満ちている。この記事にはわざわざ図が付けてあって、米国を主軸に軍事同盟国である韓国と日本とが連携して北への圧力を強化していくことが基本であるというのに、その中で(軽率で軟弱な?)韓国は(不埒にも?)北との対話に応じてしまったという様子が描かれている。常軌を逸している記事の図 )。

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