この2つの事件は、就業規則の変更内容がかなり似ています。しかし、結果は異なるものとなりました。このあたりが、就業規則の不利益変更が「有効」か「無効」かのボーダーラインとなります。実に難しい!
このような難しいボーダーライン上の不利益変更を行おうとする際は、専門家の意見を聴いて参考にすべきでしょう。特に、賃金・賞与・退職金等、お金にまつわる不利益変更は、従業員とトラブルになることが多い。たとえ従業員との間に同意があったとしても、その同意が「自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要」とされます。そして、トラブルになっている以上、「自由な意思に基づいた同意」であるというには疑問が出ます。
お金にまつわる不利益変更については、従業員との十分な話し合いの場を設け、あまり性急にならずに行っていく必要があります(できるだけ納得してもらえるよう時間をかけて説明していくことや激変緩和措置として数年かけて逓減していくことが必要)。それができないときは、従業員とのトラブル(場合によっては裁判等)を覚悟する必要があります。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社の就業規則変更に合理性がありますか?」
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