今だから、あの「ライブドア事件後」の真実について話そうと思う

 

出澤さんと初めて会ったのはその数日後でした。

マネジメントインタビューということで、と言っても旧経営陣は逮捕などでほとんどいなくなっていたので、事業部長やマネージャーの方々に話を聞こうとなり。

事件前には3人いた事業部長のうち、2人は事件後に退職されていて、1人残って三つの事業部を統括する本部長になったのが当時の出澤さんでした。

一通りのインタビューが終わり席を立とうとすると

「僕の方からもいいですか?」

と出澤さんが持参した資料を拡げました。

そこにはライブドア事業の現状と今後の課題が記されており、また事業本部長としての自分の強みと弱み、アリックスにサポートしてもらいたい点について、淀みなく、しかしハッキリとした熱をもって「プレゼン」されたのです。

振り返ると僕はその時にはもう決めていたのだと思います。

ライブドアを切り売りするのではなく再生するのだと。

2ヶ月後、アリックスパートナーズとしてのレポートを雇い主であるファンドで構成される取締役会で報告。

「アリックスはライブドアに残った人たちがやろうとしていること全力で支援しライブドアの再生を目指す

その内容を聞いたファンド側の人間は烈火のごとく怒り、アリックスはその場で解雇、取締役会から文字通り追い出されます。

もちろんこのレポートは当時のアリックスの日本代表であった西浦裕二さん(現 三井住友トラストクラブ会長)の了解を得たものでしたが、もしライブドアの査定に入ったのがアリックスでなく通常のコンサル会社だったなら、ひょっとしてライブドアは解体されていたのかもしれません。

いや違う。

もしあの時、出澤さんが事業本部長になっていなかったら、です。

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