【書評】9条が戦争を抑止していると言うお花畑につけるクスリ

 

「憲法9条があるから日本は戦争に巻き込まれない」と言う人がいますが、果たしてそれは真実なのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが取り上げているのは、そんな「平和ボケ」「お花畑」な人々を覚醒させるべく、気鋭の若手保守論客が著した一冊。柴田さんをして「これに反論できたらすごい」と言わしめる内容です。

shibata20180208-s平和ボケお花畑を論破するリアリストの思考法
渡邉哲也・著 飯塚書店

渡邉哲也『平和ボケお花畑を論破するリアリストの思考法』を読んだ。こういう書名にイラッとする人もいるだろう。平和ボケ、お花畑、ドリーマー、お困りの人、なんて揶揄されて不愉快に決まっている。そういう人こそ読んでおくべき本である。敵の理屈を叩くためにもぜひ読むべし

お花畑な人は「憲法9条があるから、これまで日本は戦争に巻き込まれずにすんだ。だから、9条だけは絶対に死守しなければならない」と言う。明かな間違いである。日本が平和を維持することだできているのは、「9条があるから」ではなく、「自衛隊を持ち日米安全保障条約に基づいてアメリカの安全保障の傘の下にいたから」である。「9条があるから」と遠慮する外国などない。

お花畑な人は「憲法を守れ! 憲法を改正してはいけない!」と叫ぶ。これは大いなる錯誤である。というか、無知のレベルだ。憲法には憲法改正の手続について規定する96条がある。改正まで含めて憲法である以上、「憲法改正はいけない」というのは、憲法改正の手続について定めた96条も否定することになってしまい、「守る」と言っているはずの現行憲法を否定することになる。

お花畑な人は「安倍政権は国民の声を無視して暴走している。これは立憲主義の冒涜だ」と叫ぶ。本当に自分の言っていることを分かっているのか。これは基本的な大間違いである。無知や勘違いではない。分かっていながら撒き散らす大ウソである。大学教授までこんなことを言うんだから、恥を知りなさい。

民主主義というのは基本的に多数決が原則であり、安倍政権を選択したのは紛れもなく国民の意思である。じっさい「国民の意思を無視して暴走」などしていないし、民主主義国家の日本ではそもそも政権の暴走などできっこない。ところが、民主党政権は本当に暴走したんだから、ものすごい時代だった。

普通選挙が国民の意思表示の最大の手段である。立憲主義の上位の概念として民主主義がある。普通選挙による多数決という民主主義の原則を規定しているのも憲法である。そのため、選挙を通じて選ばれた政権が政策を実行するというのは立憲主義の冒涜でもなんでもない。三権分立が機能し普通選挙が行われている国において、独裁などありえないのである。民主党時代にあったけど。

だから、「ノーモア民主党」というのなら分かるが、「安倍政権は国民の声を無視して暴走している」というのは、子供の悪口以下の戯言であり、相当恥ずかしいことだと思う。民主主義の日本では選挙の結果がすべてでありそれが唯一の答えとして機能する。立憲主義の冒涜はお花畑の人たちがやっている。

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