実は、このような光景は、日本のバブル崩壊時にも度々見られました。
経営者からすれば、いままで散々いい思いをさせてやったんだから、会社がピンチの時に社員が協力するのは当たり前だ、という考えだと思われます。
ちなみに、このような行動に出た当時の日本企業は、ほとんど現存していません。
「海航集団」の経営難が問題なのは、世界的に余波があまりに大きい点にあります。
そのひとつが、ドイツ銀行です。
実は、ドイツ銀行の筆頭株主が「海航集団」で、およそ一年ほど前にドイツ銀行の資本増強に応じたばかりです。
その後も株式比率を高め、現在、およそ10%を保有しています。
そのほかにも「海航集団」は、大手ホテルチェーンの「ヒルトン」なども所有しています。
現在、海航集団は債務返済の流動性逼迫を回避するため、1-6月に約1兆7300億円相当の売却を目指すつもりのようですが、これが進めば、世界中に余波が起きるのは間違いありません。
いままで、言い値同然で買っていた人たちが、突然店じまいするようにセール価格で販売するからです。
しかも、まだ日本の大手金融機関が連鎖的に経営破綻した時のような、国家のターニングポイントとなるような出来事が、中国では起きていません。
もし、歴史のサイクルが同じように時を刻むのなら、中国に歴史的な日が訪れるのは、2020年代早々ということになります。
残された時間は、あとわずかしかありません。
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