家賃収入10億のハズが破産へ。会社員を狙うシェアハウス投資の手口

 

さて、S社(株式会社スマートデイズ)についても調べてみると・・・

もしも私がこのS社の投資をやろうと思っているクライアントに相談を受け、軽く調べてアドバイスするとすれば、「絶対にやめておけ」である。それでも、投資をするというクライアントがいれば、私はそのクライアントの相談を二度と受けないだろう。

スマートデイズ社は、もともとは「スマートライフ社」といった。当初の代表取締役は、S氏だ。彼はいわゆる傀儡であり、元々の実質上の経営者がいたと推測される。

この人物の名が登記簿上から確認できないということは、表面上、名を出すと弊害があると考えたのであろう。

ただ、その初代の時期から、マンションや不動産会社を買い取るなど、鼻息の荒い経営をしていた。そして、2代目社長はD氏だ。D氏は大手不動産会社にいた敏腕であり、女性専用でおしゃれなイメージ、まるでテラスハウスの家のようなコンセプトで、シェアハウスを次々と建てていく。

ただ、 ここでの利益は、家賃収入などはあまり考えていないようで、建設費の中抜きで利益を作ろうとしている節がある。

つまり、S社で土地建物を作るとして1億円の費用がかかるとされたとすれば、他の会社で土地建物を建設すると、6000万円台後半から7000万円台前半でできるであろう。

S社では、この部分で2割から3割の利益を得ていた。営業マンは、この部分からマージンをもらっていたはずだ。それ以外は、会社の運営費や家賃保証として支払う資金として使われていた。

そもそも人口が東京などの大都市に集中していると言っても、人口は減少傾向にある日本において、シェアハウスばかりが需要が伸びるはずはない

また、初期費用が嵩むといっても、今時、割安に借りられるアパートやマンションも多くあり、無理して都内に住む必要もないだろう。交通網は進化しているのだから。

そうなると、シェアハウスの借り手を探す方が大変なのだ。

さらに、実際のS社のシェアハウスの間取りは、テレビ番組のテラスハウスのように大きなリビングがあって、、、というようなものではない。

細長く、狭い部屋が並ぶようにあり、トイレとお風呂が共用というようなつくりである。どちらかといえば、寮のようなものだ。

家賃も驚くほど安いわけではないから、どう借り手をつけるのか? そもそも論で疑問が生じる。

となれば、当時の S社が目に見える利益は、建設費用などからの利益であろう。だから、S社は部屋の借り手を探すというところに強く営業部隊を設けずに、シェアハウスのオーナーになる顧客営業にとにかく力を入れたのだ。

現在S社の報告によれば、2016年1月S社のシェアハウスの入居者数は「1491人」12月では「2344人」であるのに対し、物件数は2016年1月で「2596部屋」12月では「6734部屋」である。約1年間でおよそ4100部屋作っているのに、入居者は853人しか増えていないのだ。

そうなれば、どちらに営業が向いていたかよくわかるだろう。 もしも、このまま入居者が増えなければ、長中期的に見れば、会社の家賃保証は必ず瓦解するのは小学生でもわかることだろう。

部屋数が増えれば増えるほど、将来的に支払わなければならないオーナーへの費用は増大するのだ。

普通、このサブリース事業を成功させようと思っているならば、このバランスには注視して、必ず安定して利益が出せるように考えるだろう。

print
いま読まれてます

  • 家賃収入10億のハズが破産へ。会社員を狙うシェアハウス投資の手口
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け