児童に対する嫌がらせも。「アルマーニの制服」は何が問題なのか

 

更に言えば、現代社会において子どもに対する加害者となるような心理を抱えた犯罪予備軍というのは、「自分は格差社会の被害者」などという勝手な自己正当化をしていることが多いわけです。仮にそうであるのなら、アルマーニという「格差の勝者という記号」を露骨に持っている制服には、危機管理上のメリットよりもデメリットを感じてしまいます。

今回の騒動で、学校やその生徒に対する嫌がらせが起きているという報道があります。全く筋違いであり、許せない行為であるのは間違いありません。ですが、そうした行為が横行することの中に、将来発生するかもしれないリスクを考えるのであれば、この際この「常識からズレた選択は思い切って止めるのも一手と思います。

校長先生は、バス通学の車内で子供が騒いで学校にクレームが入るのを何とか防止したいという思いを語っておられました。しかし、冷静に考えて、小学生の子供たちが「ブランド制服」ぐらいでお行儀良くなるというのは甘いですし、多少静かになったところで子や孫のいない一部の高齢者の子供嫌いには、どっちみち効果はないのではないでしょうか。

 

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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