止まらぬ不動産の「負動産」化。所有者不明の土地面積が九州超え

mo20180221
 

「2033年には3軒に1軒が空き家になる」という予測が昨年衝撃をもって報じられましたが、現時点でも所有者不明の土地は九州全土を超える面積に達しているそうです。再開発や災害復興の妨げにもなっているというこの問題、解決方法はあるのでしょうか。無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さんが考察します。

所有者不明の土地の利用が進む

こんにちは! 廣田信子です。

所有者不明の土地が問題となっています。所有者不明の土地とは、不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が直ちに判明しない又は判明しても所有者に連絡がつかない土地をいいます。所有者に連絡がつかないとは、転居先が追えないものや、数代にわたり相続登記がされず相続人が多数となって、その所在の探索が困難となっているものなどがあります。

民間の「所有者不明土地問題研究会」の推計では、2016年時点で、全国で約410万ヘクタールを上回る土地が、所有者不明だといいます。これは、なんと、九州の面積を上回ります

国交省の検討会の資料によると、地籍調査(28年度)において、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地の割合は、概ね20%程度(所有者不明土地の外縁)、探索の結果、最終的に所在が不明な土地は0.41%(最狭義の所有者不明土地)存在するといいます。

土地の所有者が不明なためにこれを含んだ地域の土地利用が進まず、活用ができない土地全体は、この何倍にもなっているのではないでしょうか。

現行法では、土地利用には所有者の承諾が必要ですが、所有者不明のために承諾が得られず、再開発や災害復興の妨げにもなっているのです。東日本大震災の復興では、この問題が大きく立ち塞がっています。

新聞報道によると、政府は、所有者が分からない土地に公園や店舗などを作れるようにする制度の概要を固めたとのことです。審査の結果、知事が事業に公益性があると判断した場合、事業者に10年間の土地利用権を与え、所有者が現れない限り利用権を延長できるというものです。自治体や企業、NPO法人などのほか、個人の利用も想定しているといいます。制度を創設するための特別措置法案を3月上旬に閣議決定して今国会で成立させ、来年夏の施行を目指しています。

print
いま読まれてます

  • 止まらぬ不動産の「負動産」化。所有者不明の土地面積が九州超え
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け