北朝鮮へ「過去最大の制裁」。米国が仕掛けた、五輪直後の駆け引き

 

アメリカ、対北朝鮮制裁を強化

一方、アメリカ政府は同日(23日)、「対北朝鮮制裁強化」を発表しました。毎日新聞2月24日から。

【ワシントン高本耕太】米政府は23日、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する、新たな追加独自制裁を発表した。北朝鮮への石油や石炭の海上密輸に関与した計56の海運・貿易会社、船舶、個人が対象。トランプ米大統領は東部メリーランド州で演説し「一国に対する過去最大の制裁を科した。前向きな効果を望んでいる」と述べた。

一国に対する過去最大の制裁を科した」そうです。日本に対する「ABCD包囲網」の方が厳しかった気もしますが。

制裁対象となったのは、北朝鮮のほか中国、香港、シンガポールなどに拠点を置く海運・貿易27社▽パナマやタンザニア船籍などの船舶28隻▽1個人。今回の制裁で米国内資産を凍結され、米国人とのいかなる取引も禁じられる。ムニューシン財務長官はホワイトハウスでの記者会見で、制裁は「世界各国、企業への警告だ」と指摘。「北朝鮮と取引する者は代償を覚悟すべきだ」と述べた。
(同上)

ポイントは、ムニューシンさんの言葉。

「世界各国、企業への警告だ」
「北朝鮮と取引する者は代償を覚悟すべきだ」

ですね。つまり、北朝鮮と取引する人企業は罰せられると。他の国々と取引できなくなったり、資産を没収されたり、銀行口座が閉鎖されたり、などなど。こういう脅しはかなり効果があると思います。衰えたとはいえ、アメリカのパワーは、強いです。アメリカが日本、欧州を巻き込むことに成功すれば、北朝鮮を支援する企業は、「世界GDPの50%以上から制裁される」ことになります。

それでも、北朝鮮が核兵器を放棄することはないでしょう。「放棄すれば、フセイン、カダフィと同じ運命が待っている」と、金正恩が信じているからです。

平昌パラリンピックが「対話派」の追い風

このまま、北への圧力は強まっていくのでしょうか? どうも、長くは続きそうにありません

3月9日から18日まで、今度はパラリンピックが開催される。また「平和ムード」「対話ムード」が強まりそうです。この期間、金正恩は、せっせと「アメリカ本土を核攻撃できるICBM」の開発に励んでいいることでしょう。しかし、3月18日以降はまた荒れそうです。

 

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print
いま読まれてます

  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け